家を建てるときや、子どもが小学校に通い始める際に、多くの方が「子ども部屋」について検討するでしょう。子ども部屋は単に「部屋を与える」ということ以外にも、子どもの成長過程において大切な役割があります。
しかし、実際に子ども部屋を用意するとなると、適切な家具や部屋の広さ、レイアウトなどをどのようにすればいいか迷いますよね。
今回は、子ども部屋がもつ役割を考えながら、部屋の広さ別におすすめのレイアウトや、スペースを有効活用するためのコツなどを紹介します。
子どもの成長を左右する「子ども部屋」について
子どもの成長や要望に合わせて子ども部屋を作ってあげたいと思う反面で、今までよりも保護者の目が届きにくくなるため不安を感じる方もいるでしょう。
子ども部屋は、おもちゃや、教科書やランドセルなどを収納する以外にも、子どもの成長に重要な役割を持っています。
「子ども部屋」が担う役割と、用意する際のポイントについて紹介解説します。
子どもの自己管理能力を養う
子ども部屋を与えることで、子どもが自分でおもちゃや教科書などの持ち物を管理するようになるため「自己管理能力」が養われます。子どもは自分だけの部屋をうまく使うために、たくさんの考えを巡らせます。保護者になんでもしてもらっていた状況から脱し、自立心が向上していくのです。
子どもの勉強やプライベートの時間の充実
子ども部屋は、子どものプライベートの時間を確保する場所としても重要です。誰にも邪魔されない部屋があることで、勉強や宿題に集中できたり、一人になりたい時に自分だけの時間を作れたりします。子どもが大きくなれば、それまでとは違い勉強に費やす時間は格段に増えます。そんな時に静かに集中して作業に取り組める子ども部屋は、精神安定にもつながるでしょう。
また、家に友達を連れてきた場合、保護者や周囲の目を気にせず遊べることもポイントです。思春期や反抗期を迎える子どもが、親と適切な距離を保ちながら過ごせる空間は、ストレス解消にも役立ちます。
引きこもり過ぎないような空間にする
前述のとおり、子どものプライベートの時間を確保することは、成長過程においても重要です。しかし子ども部屋を与えることによって、部屋に引きこもってしまうことは避けたいですよね。
そのためには、次のような対策をしてみましょう。
部屋に鍵を取り付けない
子どもが自分で鍵をかけて、他人が入ることができない空間を作ることは、危険にもつながります。何かあった時に、すぐに部屋の中を確認できるように、鍵は取り付けない方がいいでしょう。テレビを置かない
子ども部屋に、テレビを置くことで、勉強に集中できなかったり家族との会話が減ったりすることがあります。子どもが積極的に部屋から出てくるようにするために、テレビはリビングなどの共有スペースだけに置くようにしましょう。子ども部屋までの動線について
必ずリビングを通らなければならない動線の部屋を子ども部屋にするといいでしょう。玄関から直接子ども部屋に行ける間取りでは、子どもの帰宅や外出に気づけない場合があります。これから家を建てるのであれば、リビングに階段を設置する「リビングイン階段」も一つのアイデアです。もしくは、子ども部屋につながる吹き抜けリビングも人気があります。
子ども部屋のレイアウトを考えるときの3つのポイント
子ども部屋のレイアウトを考える際には、将来必要になる家具の大きさや部屋の広さなども考慮する必要があります。
では具体的に、子ども部屋作りには、どのようなポイントを考慮し想定しておかなければならないのでしょうか。こちらでは3つのポイントを紹介します。
将来を想定した家具選び
子どもが成長するにつれて、必要になる家具のサイズは大きくなります。家具を購入する際には、子どもの将来を考えて用途や大きさなどを決めましょう。例えば、勉強机は小学生から大学生まで使う可能性があります。勉強机自体はシンプルなデザインのものを購入し、年齢に合わせた小物や飾りを施すことでカスタマイズしてみてはいかがでしょうか。自分の好みにアレンジできる家具は、子どもが大きく育っても長く愛用できます。
また、机や椅子だけでなく、クロゼットやタンスなどの収納も、子どもの成長に合わせて使用できる「可変性」のあるものがおすすめです。 将来収納品が変わることを想定してハンガーパイプの高さが変えられるものや、棚板の位置が動かせるものなどを選んでおくことで、買い替えることなく使い続けられます。
子ども部屋の形に注目
子ども部屋を作る際には、部屋の広さ以外にも形に注目しましょう。同じ面積でも、正方形の部屋より、壁面に収納が設置しやすい長方形の部屋の方が家具の収まりがいい場合もあります。
窓がある場合には、家具で窓が覆われてしまわないように、家具の高さや形に配慮する必要があります。
勉強机やベッドだけでなく、クロゼットや本棚など多くの家具を置きたい場合には、壁面が広く取れる形の部屋を選びましょう。
家具レイアウトによるスペースの確保
子どもが窮屈さを感じずに生活するためには、家具レイアウトによるスペースの確保が重要なポイントになります。例えば部屋のスペースを広く使いたい場合には、勉強机とベッドをL字状に配置してみましょう。部屋の中心にスペースができるため、趣味に使われる空間や友達を呼んで遊ぶ空間が確保できます。
また、勉強机とベッドを対面に設置するのもいいでしょう。向かい合う2面の壁につけてI字状に設置すれば、家具がまとまって部屋がスッキリとして見えます。
子どもが学校の準備などをしやすいように、収納の場所も意識しましょう。ランドセルや教科書など学校用品を収納する棚は勉強机の隣に置くなど、カテゴリーごとに収納位置をまとめると、準備や片付けがスムーズに行えます。
【4畳半・6畳】子ども部屋の広さによるレイアウトの特徴
次に子ども部屋の広さごとの特徴について紹介します。ベッドや勉強机、クロゼットや引き出しなどの家具を置いた際に、どのくらいスペースにゆとりができるのかを見てみましょう。
家具のおさまりがいい「4畳半」
4畳半の部屋は、勉強机やベッド、小さな書棚や引き出しをコンパクトに設置できる程度の広さが特徴です。
出入り口が少し狭くなりますが、小学生の子ども部屋であれば荷物も少なく、大きな家具を必要としません。そのため勉強や就寝の時だけ使う部屋とすれば十分な広さを確保できます。
家具同士が近いため、準備や片付けが楽にできるのがポイントです。 コンパクトな4畳半の部屋の場合、子どもが友達を呼んで遊ぶには少々狭いと感じるかもしれません。そんな時のために、リビングにキッズスペースを用意したり、収納スペースを他の部屋に設けたりと工夫を取り入れましょう。
一般的な広さの「6畳」
6畳の部屋は、居室として一般的な広さです。勉強机やベッド、収納家具を置いてもスペースにゆとりがある6畳部屋は、大きくなって一人で使う場合にも十分な広さといえるでしょう。
空間をより広く見せたい場合は、高さの低い家具を選んだり、明るい色のものを選んだりするのがポイントです。
子ども部屋のレイアウトにありがちな悩みを解消するコツ
子ども部屋のレイアウトには、子ども自身が気に入るデザインや機能性を考えることが大切です。子ども部屋はスペースの取り合いでけんかになったり、物が出しっぱなしで散らかったりしやすいですよね。
こちらでは1つの部屋を兄弟で使う場合など、限られたスペースでも楽しく過ごせるようにレイアウトのコツについて紹介します。
【8畳】子ども部屋を2人で使うレイアウトのコツ
子ども部屋を2人で使う際には、お互いのスペースを確保することでけんかになったり、持ち物が混ざることもよくあります。それを防ぐためには、部屋を2つに仕切ってしまうのがおすすめです。
注文住宅では、8畳の部屋を2人部屋前提で設計することもできます。子どもが小さい頃は1つの部屋として使用し、プライバシーを確保したい年頃になったら家具で仕切って2つの部屋として使用可能です。
部屋を仕切るにはパーテーションとしてラックを取り付けたり、クローゼットや勉強机を背中合わせに設置する方法があります。ラックはS字フックやカゴを取り付けることで、収納としても使えるのがうれしいポイントです。
また、それぞれで使う家具の色を変えるのもおすすめです。寝具などの色を、兄弟それぞれの色で統一することで、個室の雰囲気を出すことができます。
おしゃれな子ども部屋にするコツ
おしゃれな子ども部屋を作るには、子どもが好きなテーマを決めて家具を選ぶのがポイントです。好みのカラーやデザインをそろえることで統一感が出ておしゃれにまとまります。
子どもが喜んで使ってくれる部屋にするには、どのような部屋にしたいのか一緒に考えてみましょう。動物や海、プリンセスや宇宙など、目指すテーマを決めるとレイアウトがしやすくなりますよ。
例えば、海がテーマの部屋にするなら部屋全体に青や水色、白系の色を配置します。加えて船や魚のウォールステッカーを貼り付ければ、気分は楽しい海の中です。
部屋をかわいくコーディネートするには壁紙を変えたり、家具の材質をそろえたりするのもいい方法です。壁紙はホームセンターやネットショッピングなどでさまざまな種類のおしゃれなものが簡単に購入できます。
子どもと一緒にDIYに挑戦するのも、楽しい思い出になりますね。
狭い子ども部屋が片付く収納のコツ
狭い子ども部屋では、物を賢く片付けるためのアイデアが必要です。限られた空間ではベッド下のようなスペースを活用する他にも、椅子やテーブルとして使える収納などを取り入れましょう。本棚はカラーボックスを横向きにして使えば、その上を工作台や物置場としても使えます。
また、散らかりにくい部屋作りには「物の帰る場所」をきちんと決めておくことが重要です。「ランドセル置き場」「習い事用品」「おもちゃ」など片付ける場所を明確にしておくことで置きっぱなしや、どこに置いたかわからなくなる事態を防げます。
まとめ
子ども部屋を作る際には部屋の目的を理解し、子どもの年齢や部屋の広さなどに合わせてレイアウトを考えましょう。
子ども部屋は子どもの自立心を育てたり、プライベートの時間を確保したりするために必要な空間です。子ども目線になって、使いやすく居心地のいいレイアウトにすることが大切です。
家具を選ぶには統一感を出すために、テーマを決めることや、長く使うために可変性のある家具にすることがおすすめです。 今回ご紹介したレイアウトのポイントやコツを参考にしながら、子ども部屋をレイアウトしてみてくださいね。