平屋の5つのメリットと設計のポイント  二階建てと比較検討する際の基準も解説

平屋の5つのメリットと設計のポイント  二階建てと比較検討する際の基準も解説
二階建てとは違った独自の魅力を持つ平屋は、バリアフリー設計や家族とのコミュニケーションの取りやすさなど、多くのメリットがあります。しかし一方で、土地の広さや建築コストなど、注意すべき点もいくつか存在します。
この記事では平屋のメリット・デメリットや二階建てとの比較、設計のポイントなどを詳しく解説します。すでに平屋を検討中の方や平屋の暮らしに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

平屋の5つのメリット

平屋の5つのメリット
平屋には、二階建てとは違った魅力的なメリットが数多くあります。ここでは、平屋の代表的なメリットを5つ紹介します。平屋を検討する際の参考にしてください。

バリアフリー設計にしやすい

平屋は階段がないため、バリアフリー設計にしやすいことが大きなメリットです。段差がなく車いすでもスムーズに移動できる仕様にすることで、小さなお子さんや高齢の方も安全に暮らせます
さらに部屋の間取りを工夫することで、生活動線や家事動線をシンプルにまとめられ、利便性が高く快適な暮らしが実現可能です。例えば、洗濯機から物干し場までの距離を短くしたり、キッチンとダイニングを近づけたりできます。平屋は将来のライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる、自由度の高い住まいと言えるでしょう。

家族とのコミュニケーションが取りやすい

平屋はワンフロアで生活が完結するため、自然と家族が顔を合わせる機会が増えます。リビングを中心とした間取りにすることで、常に家族の存在が感じられ、コミュニケーションが取りやすくなるでしょう
また子育て中のご家庭では、親が子どもの様子を確認しやすいというメリットもあります。さらに二階建てのように階上の騒音を気にする必要もないため、のびのびと子育てができるでしょう。平屋の住宅では家族の絆を育む、より温かい住まいを実現できます。

効率的な家事動線を作りやすい

平屋は二階建てに比べて洗濯や料理、掃除などの家事がワンフロアで完結するため、移動の負担が少なく効率的に家事をこなせます
例えば、洗濯機置き場から物干し場までの動線を短くしたり、収納スペースをまとめて配置したりすることで家事の時短につながります。また、平屋は掃除がしやすいのも魅力です。階段がないことでロボット掃除機も活用しやすいため、家事の負担を大幅に軽減できるでしょう。
さらに平屋は、勾配天井等を採用することでインテリアを工夫できるのも魅力です。吹き抜けのような構造で天井の位置が高くなるため、視覚的にも開放感が生まれます。

構造的に耐震性・耐風性に優れている

平屋は建物の高さが低いため、地震の揺れの影響を受けにくいのが特徴です。重心が低く、構造的に安定しているため、地震の際に揺れが小さく倒壊のリスクを軽減できます
また、風の影響を受けにくいのも平屋のメリットです。建物自体の高さが低いため、台風や強風による風圧を受けにくく、建物への負担が少なくなります。耐震性・耐風性に優れた平屋は、安心して長く住み続けられる住まいと言えるでしょう。

維持費を安く抑えられる

平屋は二階建て以上の住宅に比べて、建物のメンテナンス費用を抑えられる傾向があります。外壁の面積が小さいため、修繕が必要になった際の費用が比較的安く済むためです。
また、電気や水道などの設備が1階に集中しているため、メンテナンスが必要な箇所が少なく、維持管理がしやすいのもメリットです。長期的な視点で見ると、平屋は経済的な負担を軽減できる、賢い選択と言えるでしょう。

平屋を建てる際の4つの注意点

平屋を建てる際の4つの注意点
平屋には多くのメリットがありますが、土地の広さやコスト面で注意すべき点もいくつかあります。ここでは、平屋を建てる際に注意したい4つのポイントを解説します。

広い敷地を確保する必要がある

平屋の住宅で二階建てと同じ延床面積を確保しようとすると、より広い敷地が必要になります。すべての部屋を1階に配置する必要があるため、建物の水平方向の広がりが大きくなるためです。
そのため土地の価格が高い都市部では、十分な広さの敷地を確保するのが難しい場合があります。「郊外の広い土地を選ぶ」「廊下を減らすなど間取りを工夫する」などして、延べ床面積が必要以上に大きくならないようにしましょう。

二階建てよりも税金が高くなる可能性がある

平屋の住宅は、二階建てに比べて固定資産税が高くなる可能性があります。土地の固定資産税は土地の広さに応じて課税されるため、広い土地が必要な平屋は自然と税金が高くなる傾向があるためです。
また建物の固定資産税は、使用される資材などによって評価額が変わることがあります。延床面積が同じ平屋と二階建てを比較した場合、平屋の方が屋根と基礎の面積が広くなるため、固定資産税が高くなる可能性があることを覚えておきましょう。

建築コストが高くなる傾向がある

平屋は、二階建てに比べて建築コストが高くなる傾向があります。基礎面積や屋根面積が広くなるため、その分の材料費や工事費が加算されるためです。
また延床面積が小さいと、坪単価が割高になる傾向があります。キッチンや浴室などの設備は、建物の大きさに関わらず必要です。また家を建てるためにかかる経費も、あまり面積に左右されないため、延床面積が小さいほど坪単価に占める割合が大きくなります。設計の工夫次第でコストを抑えることは可能ですので、建築家や工務店に相談してみましょう。

水害時の被害が大きくなりやすい

当然ですが平屋には二階がないため、水害時、床上浸水してしまった場合に家財を二階に避難させることができません。また人間も垂直避難ができないため、逃げ遅れるリスクが高まります。
平屋を建てる際は事前にハザードマップを確認し、浸水リスクの低いエリアを選ぶことが重要です。また万が一の事態に備えて「避難経路や避難場所を確認しておく」「非常用持ち出し袋を準備しておく」などの対策をしておきましょう。

快適な平屋を作るための設計のポイント

快適な平屋を作るための設計のポイント
平屋は設計の工夫次第で、より快適で暮らしやすい住まいになります。ここでは、快適な平屋を作るための設計のポイントを3つ紹介します。

日当たり・通風に配慮して窓を配置する

平屋は周りに高い建物があると、日当たりや風通しが悪くなる場合があります。また部屋数を増やすと、自然光が届きにくい部屋ができてしまうこともあります。
それでも窓の位置や大きさを工夫することで、室内に十分な光を取り込み、風通しを良くすることが可能です。例えば「高い位置に窓を設けて光を取り込む」「天窓を設けて部屋の奥まで光を届けるなどの方法があります。中庭や吹き抜けを設けるのも、採光と通風を確保するのに有効な手段です。

防犯性能を高める

平屋の住宅は、すべての部屋が地上に面しているため、二階建てに比べて防犯面に注意が必要です。窓や玄関の防犯対策をしっかりと行い、空き巣などの侵入を防ぎましょう。
防犯カメラやセンサーライト、セキュリティシステムの導入を検討するのもおすすめです。「窓を防犯ガラスにする」「窓にシャッターや面格子を取り付ける」など、窓の防犯対策も重要です。一方で二階建ては、寝室が二階にあることが多いため、就寝時に1階の異変に気づきにくい場合があります。それぞれの住宅の特性を考慮して、適切な防犯対策を行うことが重要です。

小屋裏を収納に活用する

平屋は、二階建てに比べて収納スペースが不足しがちです。そのような場合は、天井を高くして小屋裏(屋根裏)を収納スペースとして活用することで、収納不足を解消できます。
小屋裏収納は季節の家電や衣類、思い出の品など普段使わないものを収納するのに便利です。小屋裏は収納の用途だけでなく、趣味の部屋や子どもの遊び場として活用することもできます。小屋裏の活用は平屋の居住空間を有効活用し、快適性を高めるためのポイントです。

平屋と二階建てのどちらが適しているか?2つの判断基準を解説

平屋と二階建てのどちらが適しているか?2つの判断基準を解説
自宅を平屋と二階建て、どちらにするべきか迷っている方は多いでしょう。ここでは、平屋と二階建てのどちらが適しているかを判断するため、2つの基準について解説します。

家族構成・ライフステージ

家族構成やライフステージは、平屋と二階建てのどちらを選ぶかを決める上で重要な要素です。小さなお子さんがいるご家庭では、親の目が届きやすい平屋には大きなメリットがあります。
しかしお子さんが成長し個室が必要になった場合には、二階建ての方がプライバシーを確保しやすいでしょう。一方で夫婦二人暮らしの場合は、高齢になった際の生活のしやすさを考慮すると平屋がおすすめです。
階段の上り下りがないため、足腰への負担が少なく安全に暮らせます。将来のライフスタイルの変化も考慮しながら、最適な住まいの形を選びましょう

土地の条件

土地の条件も、平屋と二階建てのどちらを選ぶか決める上で重要な要素です。広い土地を確保できる場合は、平屋を建てても十分な居住スペースを確保できます。しかし都市部などで比較的狭い土地では、必要な延床面積を確保するために、二階建て以上が現実的な選択肢となるでしょう。
そこで郊外に広い土地を確保し、平屋を建てるという選択肢もあります。そのような場合は、通勤や通学・買い物などの利便性も考慮して、総合的に判断する必要があるでしょう。

平屋は設計の工夫は必要だがメリットは大きい

平屋は設計の工夫は必要だがメリットは大きい
平屋は「バリアフリー設計がしやすい」「家族とのコミュニケーションが取りやすい」「効率的な家事動線を実現できる」など、多くのメリットがあります。また、構造的に耐震・耐風性に優れており、維持費を安く抑えやすいのも魅力です。
しかし広い敷地が必要で、建築コストや水害時のリスクなどの注意点も存在します。平屋を建てる際は、これらのメリット・デメリットを総合的に考慮し、自身のライフスタイルや土地の条件に合った選択を行うことが重要です。
また日当たりや通風、収納スペースなどを考慮した設計上の工夫によって、より快適で暮らしやすい平屋を実現できます。この記事で紹介したポイントを参考に、理想の平屋づくりを目指しましょう。