タワマンに限らず、集合住宅に住む際に気になるのが騒音。広大な敷地と高さ、最新の設備からは騒音のイメージはあまりありませんが、実はタワマン特有の騒音があります。音の感じ方には個人差があるため、内覧を繰り返して確認することが重要です。
 
そこで今回は、タワマンでの騒音の原因と、入居前のチェックポイントを詳しくご紹介します。ぜひ参考にして、納得のいく物件をみつけてくださいね。

タワマンの騒音は構造的問題もある

タワマンの騒音は構造的問題もある
 
タワマンは、敷地面積が広く地上からも離れているため、騒音とは無縁に思えます。しかし、タワマンの構造によって生じる騒音もあるため注意が必要です。

高層階では遠くの音が聞こえてしまう

タワマンのような高層の建物は、遠くの音が聞こえやすい特徴があります。高層階になると、周辺に音を遮る障害物がなくなるためです。
 
同じ敷地でも地上近くと高層階では聞こえる騒音が異なるため、入居を予定している階層の騒音を確認しておきましょう。低層階では通りを歩く人や車の音、高層階では風切り音や遠くの雑踏の音が聞こえることもあります。また、部屋の方角によっても、音の聞こえかたが変わることもあるので注意が必要です。

静か過ぎてちょっとした音が気になる

静かすぎる環境では、かえって騒音が気になることもあります。タワマンの高層階であれば、近隣の音はほとんど聞こえてきません。しかし、普段は聞こえているすぐ近くの通りを歩く人の話し声のような「暗騒音」が聞こえなくなることで、ほんの小さな物音が気になるようになるケースもあります。
 
また、商業施設や距離のある幹線道路を走る車や電車の音など、遠くの音も気になりやすくなります。
 

低層マンションに比べて軽量に作られている

タワマンは、低層マンションと比べて軽量に作られています。高層階を積み上げるには、重量を軽くする必要があるためです。
 
低層マンションは、一般的に湿式壁という鉄筋コンクリート構造になっています。コンクリートは質量が重く、隙間もないので音が伝わりにくい建築材料です。
 
一方タワマンの壁材は、石膏ボードやケイ酸カルシウム板といった乾式壁が一般的です。乾式壁はコンクリートと比べると密度が低いため遮音性に影響しやすいといわれています。

タワマンの騒音の種類

タワマンの騒音の種類
 
タワマンの騒音は、さまざまな原因から発生します。集合住宅である以上、まったくの無音にはならないため、どこまで許容できるかを検討することが重要です。
 
タワマンで発生する騒音の主な種類をご紹介します。内覧時のチェックポイントとしても参考にしてくださいね。

隣接する部屋からの生活音

もっとも多いのは隣接する部屋からの生活音です。タワマンは高層化のため軽量に作る必要があり、乾式壁と呼ばれるコンクリートに比べて密度の低い壁材が使われているケースが多くあります。低層マンションから引っ越すと、隣室の音が気になるケースもあるので注意しましょう。
 
ただし、タワマンに限らずどれほど高級なマンションであっても、完全に音のない暮らしは実現できません。タワマンで快適に生活できるかどうかは、上下および隣接する住民の暮らし方にもよります。タワマンは住戸数も多く、さまざまな人が住んでいます。家族構成や生活リズムがそれぞれ異なるため、騒音トラブルも多くなりがちです。

水道管を流れる水の音

タワマンをはじめ、集合住宅で意外と気になるのが水道管を流れる水の音です。とくにタワマンは住戸数が多いため配管も複雑で、間取りによっては大きく聞こえることもあります。
 
「固体伝搬音」といわれる、水道管などの物体を通じて伝わる音は、振動が伝わった先で音として放射される点が特徴です。建物に反響するため、実際よりも大きな音に感じることもあります。

外部から入ってくる音

建物内の音だけではなく、外部から入ってくる音も騒音の原因です。多くのタワマンは利便性のいい場所に建っているため、幹線道路や駅、商業施設や繁華街などの音に悩まされることがあります。
 
音の聞こえ方は方角や天候、風向き、階数、時間帯などの条件によっても異なります。内覧時には分からなくても、いざ住んでみると騒音が気になることも少なくないため注意が必要です。

騒音が気にならないタワマン選びをするためのチェックポイント

騒音が気にならないタワマン選びをするためのチェックポイント
 
残念ながら、騒音のすべてを事前に把握することはできません。しかし、重要なポイントを押さえておくことで、ある程度騒音の気にならないタワマンを選べるようになります。
 
1つずつ確認して、理想のタワマンをみつけてくださいね。

床と天井の構造を確認

少しでも騒音を防止するために重要なポイントは、床と天井の構造です。主流である直床と二重床のどちらが採用されているかを事前に確認しておきましょう。
 
まず、コンクリートの構造体の上に直接床を張った直床は、コンクリートと床材の間に防音性の高い緩衝材を挟み込んだ構造です。
一方二重床は、コンクリートと床材の間に一定の空間のあることが特徴です。床の内側に防振ゴムをつけることで、騒音を抑えます。軽い物を落とした時などに伝わる「軽量床衝撃音」は伝わりにくくなりますが、子どもが飛び跳ねたときなどに生じる「重量床衝撃音」と呼ばれる音は、空間の太鼓現象によってかえって大きく伝わることもあるので注意が必要です。
 
ただし、直床と二重床のどちらが遮音性にすぐれているかは、一概にはいえません。床の厚みや床の素材、などを確認して総合的に判断しましょう。
 

床の厚さと素材を確認

床の厚さや素材も重要な確認ポイントです。床に使用されているコンクリートの厚みをスラブ厚といいます。スラブ厚は200〜250mmが目安です。
 
床材は使用されている素材の防音性能を確認しましょう。防音性能はL値で表記され、数字が低いほど防音性能が高くなっています。防音性能の目安は、L-40〜L-45あたりです。L-50を超えると、スラブ厚によっては騒音が気になることもあります。
 
壁は材質と遮音性能を確認
タワマンの壁をチェックする際は材質と遮音性能を確認しておきましょう。壁がコンクリートであれば防音性能には問題ありません。ただし、タワマンでは一般的に、軽量化目的で乾式壁を使っています。乾式壁はもともと防音性能が高くないため、遮音性能が重要なポイントです。
 
壁自体の遮音性能はTDL値で表示されています。タワマンの壁であればTDL値55以上がおすすめです。

窓や窓枠の素材や防音性能を確認

部屋の外からの音を防ぐためには、窓や窓枠の防音性能も重要なポイントです。
 
複層ガラスといった防音性能を高めた窓ガラスもあります。さらに、窓ガラス自体が内外二重になっている二重窓もおすすめです。窓枠については、通常のアルミサッシよりも樹脂製のサッシを使用している窓のほうが防音性能が高くなります。

周辺環境を確認

タワマンは利便性の高い場所に建設されることが多いため、周辺環境の確認も重要です。駅や商業施設が近い場合、思いのほか騒音が響くこともあります。
 
また、立地条件のいい場所は住民そのものの数も多いため、付近を走行する自動車や自転車、人の声についても確認しておきましょう。さらに、騒音の発生は時間帯によっても異なります。自分が生活する時間帯に騒音が気にならないかの確認も必要です。

既存物件なら口コミを確認

入居前に、あらゆる条件で騒音を確認することは困難です。既存の物件であれば
不動産業者によっては、入居者の声が届いていることもあります。実際に住んでいる人がどう感じているのかを、できるだけ具体的に聞いてみたり、インターネット上などで口コミを確認してみるのもいいでしょう。
 

タワマンでできる騒音対策

タワマンでできる騒音対策
 
事前に確認していても、実際に居住してみると騒音が気になる場合もあります。あまりに気になるようであれば引っ越しする手段もありますが、簡単なことではありません。
 
そこで、ちょっとした工夫で騒音を軽減できる方法をご紹介します。

家具の置き方を工夫する

家具の置き方を工夫すると、騒音を抑えられる可能性があります。とくに隣室からの騒音が気になるときに有効です。
 
音は、重いものには伝わりにくい性質があります。騒音の気になる壁側に、タンスなどの重い家具を置くことで、ある程度音を遮ることが可能です。また、大きめの家具を隣家との壁側に設置すると、こちらからの音ももれにくくなります。

防音カーテンを使用する

外からの音が気になる場合は、防音カーテンが有効です。防音カーテンは、特殊な織り方で作られており、音を遮断したり吸収したりする効果があります。最大80%もの減音効果を発揮するものもあるため、外部の騒音が気になる際は積極的に防音カーテンを利用しましょう。

タワマンの騒音は細かい確認が重要

タワマンの騒音は細かい確認が重要
 
タワマンの騒音にはさまざまな原因があります。構造的な問題によって発生する騒音の場合、対策をしても防音効果はあまり期待できません。入居してから騒音に悩まされないためには、モデルルームなどで壁材や床材、窓の構造などできるだけ細かい点の確認が重要です。また、壁や床の遮音性能など、数字で確認できるものは可能な限り不動産業者から情報を取り寄せておきましょう。
 
タワマンの立地条件も合わせて確認しておくことが重要です。マンションの隣接地域だけでなく、見通しのいい場所の幹線道路や海風の影響なども考慮して選びましょう。住まいの騒音は生活の質に直結するため、納得のいくまで確認してくださいね。