マンションの購入や住み替えを検討する際、どんな項目をチェックリストに入れていますか?
 
部屋の大きさや階数、周辺の環境など沢山ありますが、エレベーターも意外と重要なチェック項目です。
 
どのマンションにもあると思われがちなエレベーターですが、必ずしも設置されているわけではありません。
それでは、マンションのエレベーターは何階建ての建物から設置されているのでしょうか。
 
知っておきたいエレベーターの安全性や利便性もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
 

マンションのエレベーターは何階建ての建物から設置される?

マンション エレベーター 設置義務
エレベーターは何階建てのマンションから設置義務があるのでしょうか。
マンションエレベーターの設置に関する法律をご紹介します。

エレベーターの設置義務は何階から?

マンションには「◯階以上の建物からエレベーターの設置が必要」といった決まりはありません。
 
ただし「階数」の基準ではなく、建物の「高さ」によるエレベーターの設置義務はあります。
 
国土交通省が定めた「建築基準法」の中では「高さ31mをこえる建築物(政令で定めるものを除く。)には、非常用の昇降機(=エレベーター)を設けなければならない」と記されています。[注1]
 
31mとはマンションの7階から10階程度の高さを指します。そのため、5階建てのマンションであってもエレベーターが設置されていない場合があるので注意しましょう。
 
[注1]建築基準法「第三十四条」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201#448
 
 

高齢者向けのマンションには3階建て以上から

足腰の弱い高齢者が、円滑に建物内を移動できるよう制定された「高齢者の居住の安定確保に関する法律」があります。[注2]
 
この法律では「階数が三以上である共同住宅の用途に供する建築物には、原則として当該建築物の出入口のある階に停止するエレベーターを設置すること。」とされています。
 
その他、地方公共団体が独自に定めている条例もあり、自治体のホームページで詳しい内容を確認することができます。
 
[注2]高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413M60000800115

 

マンションのエレベーターにおけるメリット・デメリット

マンション エレベーター 有益性 
マンションの階数があがるにつれて、エレベーターの有益性は高くなります。
しかしその分、エレベーターに関する費用が発生することも否めません。
 
エレベーター付きのマンションに住むにあたって感じる、メリット・デメリットをご紹介します。
 
体力面でも費用面でも、思った以上に大きな負担とならないよう、エレベーターの
特徴を確認していきましょう。

マンションのエレベーターのメリット

エレベーターがないマンションでの階数移動は、階段を利用することになります。一日に数回だけの利用とはいえ、足を怪我しているときや小さい子どもを抱えながら階段の上り下りをするのは苦痛となるでしょう。
 
エレベーターがあると、マンションでの生活がより快適になります。また、最近のエレベーターには、安心して利用できるさまざまな機能が備え付けられ、利用者にとって快適な昇降手段となっています。
 
・階数移動に時間がかからない
・重い荷物を持ち運ぶ際の負担が減る
・小さい子ども連れでも移動が楽
・防犯カメラがあると安心
 

マンションのエレベーターのデメリット

エレベーターは便利な設備とはいえ、日々利用していくにつれて気になることもでてきます。
 
朝の混雑時にはエレベーターが各階に停まり、急いでいるのになかなか来ないとストレスを感じてしまうかもしれません。
 
また、エレベーターと部屋が近い位置にある場合は、機械の動作音やエレベーター待ちをする人の話し声が気になるということもあります。
 
費用面での負担も発生します。賃貸で住む場合には家賃が高くなったり、分譲マンションの場合には管理費、修繕費がかかったりします。
 

安全に利用できるエレベーターの特徴

エレベーター 安全装置 地震 停電
エレベーターを安全に利用するためには、地震や停電時の対策が不可欠です。2009年9月の建築基準法改正により「P波感知器付地震時管制運転装置と予備電源の設置」が義務付けられました。
 
マンションの内見時に確認する方法としては、エレベーターに任意で取り付けられた、安全装置設置済マーク(=安全マーク)の表示を確認することです。[注3]
もしくは内見の予約をする際に、エレベーターの安全装置について確認したい旨をあらかじめ担当者に伝えておくのがよいでしょう。
 
[注3]エレベーター安全装置設置済マークについて
https://www.seinokyo.jp/evs/sm/
 

地震や停電時に近くの階で停止する

安心して利用できるエレベーターには、災害時に対応できる「停電時自動着床システム」「地震時管制運転」「遠隔監視管理サービス」「戸開走行保護装置(UCHP)」などのすぐれたシステムが備わっています。
 
停電時自動着床システムとは、停電などでエレベーター内に人が閉じ込められてしまった場合、自動的に最寄り階で停まりエレベーターから降りられるというシステムです。また、遠隔監視管理サービスによって、異常情報を管理会社へ送信し迅速な復旧に対応します。
 
地震時管制運転とは、大きな揺れが発生する前に起こる波動(=P波)を感知すると、最寄り階に着床し扉が開くシステムです。
 
戸開走行保護装置(UCHP)とは、エレベーターの駆動装置や制御器に故障が生じ、エレベーターの扉が閉じる前に昇降した場合に自動的に制止する安全装置です。これにより、人の挟まり事故を未然に防ぐことができます。

防犯カメラやモニターが設置されている

エレベーター前に「カラーモニター」、エレベーター内に「防犯カメラ」や「防犯警報装置」が設置されているマンションもあります。
 
防犯警報装置とはエレベーター内で問題が発生した際、防犯ボタンを押すことでブザーを鳴動させ、各階強制停止運転等を行います。
 
その他、車椅子を利用する方が乗り降りしやすくなるようにエレベーター内に鏡が付いているものもあり、防犯対策としても機能します。

エレベーター内に非常時の設備がある

エレベーター内に防災用具が備蓄されていれば、災害などで万が一閉じ込められてしまっても、救出までの一時しのぎに役立ちます。
 
防災用具入れは三角柱の形をしているものが多く、一般的にエレベーター内の角にセットされています。中には、水やトイレシートなどが入っており、緊張状態で喉が渇いてしまったり気分が悪くなったりしたときに利用できるので便利です。
 
安全装置として、停電時の非常灯の設置が建築基準法により義務付けられています。これは「停電灯」と呼ばれるもので、1ルクス(=月明かり程度)以上の明るさの確保が必要とされています。[注4]
 
その他、エレベーター内の奥の壁が鍵で開くように設計されており、担架やストレッチャーなど奥行きのある機材を使ってエレベーターを利用できる構造になっています。病人やけが人の素早い搬送に役立つでしょう。
 
[注4]建築基準法施行令「エレベーターの安全装置(第百二十九条の十)」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325CO0000000338
 

エレベーター付きマンションの選び方

マンション エレベーター 物件選び 設置台数
マンションに住む方の多くが毎日利用するエレベーター。生活に密接している存在だからこそ、快適に利用したいものです。

エレベーターの設置台数

エレベーターの設置台数は、マンションの階数、住戸数、定員などによって変化するため、明確な基準はありません。
 
しかし、台数が多すぎると管理費が高くなり、少ないと待ち時間が長くなってしまいます。
 
一般的には住戸50戸につきエレベーター1台、住戸が100戸になると、階数やエレベーターの定員にもよりますが2台以上あるのが望ましい形です。
 
特に住戸数が多いタワーマンションでは、エレベーターが来るまでに時間がかかります。朝の混雑時に利用する機会が多い方は、エレベーターの台数の確認をしておきましょう。

エレベーターと部屋の位置

エレベーターと部屋の位置は近い方が移動に便利です。また、エレベーターに隣接している部屋の価格は、安くなる傾向があります。
 
ただし、エレベーターと部屋が隣接していたり向かいに位置していると、動作音や防犯性が気になることもあります。最近は、エレベータの動作音が気にならないように防音対策などがされているマンションもあるので確認しておくことが大切です。

まとめ

一般的なマンションのエレベーターは、階数を基準にした建築基準法上での設置義務はありません。高い階数の部屋に住み替えを検討している方は、そのマンションにエレベーターが設置されているか、必ず確認しましょう。
 
内見時には、防犯カメラや防犯警報装置が設置されているか、防災用具があるか、また安全装置設置済マークを確認するなど、エレベーターの機能性もチェックしておきましょう。
 
マンション選びでは、部屋の間取りや立地などに目が行きがちですが、エレベーターの存在も忘れてはなりません。ぜひチェックリストに追加しておくことをおすすめします。
 
 
[注1]建築基準法「第三十四条」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000201#448
 
[注2]高齢者の居住の安定確保に関する法律施行規則
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413M60000800115
 
[注3]エレベーター安全装置設置済マークについて
https://www.seinokyo.jp/evs/sm/
 
[注4]建築基準法施行令「エレベーターの安全装置(第百二十九条の十)」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325CO0000000338