私たちが省エネのためにできること。それは家の中の至るところにあります。
 
省エネ対策をおこなうことは、光熱費の節約にもつながります。「家計にも影響するなら、省エネのためにできることをやってみたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
 
本記事では家庭でできる省エネ対策を、リビングやキッチンなどのお部屋ごとにご紹介します。経済産業省資源エネルギー庁の「省エネポータルサイト」より、節約できる金額の目安も載せてありますので参考にしてみてください。
 

省エネが重要な理由

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省エネ(省エネルギー)とは、石炭や石油、天然ガスなど限りある資源によって作り出されたエネルギーを、効率的に消費することです。
 
エネルギーを作り出す際に排出される二酸化炭素は、地球温暖化や環境汚染などの原因とされ、深刻な問題となっています。そこで国は「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)を昭和54年に制定し、エネルギーを効率的に使うための取り組みを始めました。
 
省エネは地球温暖化対策だけではなく、光熱費の節約やエネルギーの安定供給のためにも重要です。それぞれの課題に向けて私たち一人ひとりが省エネの必要性を理解し、行動に移すことが求められています。

省エネで地球環境を守る

私たちの暮らしに欠かせない電気やガスなどのエネルギーは、石油や天然ガス、石炭などの化石燃料を燃やして作り出されますが、その際に多くの二酸化炭素が排出されます。
 
二酸化炭素の濃度が高くなると、本来宇宙へ放出されるはずの熱が大気中に蓄積し、温室効果が過剰に進んでしまうのです。
 
地球の平均温度は、二酸化炭素を代表とする温室効果ガスによって、14℃前後に保たれています。私たちに穏やかな気候をもたらしてくれるはずの温室効果ガスですが、必要以上に濃度が上がると、地球温暖化や海水温の上昇を引き起こしてしまいます。
 
地球環境を守るためには、私たち一人ひとりが省エネ対策をおこない、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を抑えることが重要です。

省エネで電気代・ガス代・水道代を節約

例えばエアコンの冷房(設定温度28℃)・暖房(設定温度20℃)の使用をそれぞれ一日1時間ずつ減らした場合、年間で約1,600円の電気代を節約できます。[注1]
 
また、シャワーの使用時間を1分短くすると、年間のガス代が約2,070円、水道代は約1,140円抑えられます。[注2]
 
そのほか、電力会社やガス会社を見直したり、省エネ効果や節水効果のある設備に切り替えたりすることも、光熱費の節約に有効です。

省エネでエネルギーの安定供給

日本はエネルギー自給率が約11%であり、主要国のなかでもかなり低い水準といえます。そのため、資源のほとんどを輸入に頼っているのが現状です。
 
日本のみならず世界全体でエネルギー需要が増加している一方、エネルギー資源である世界の石油・天然ガスの可採年数は、約50年と予測されています。限りある資源を守るためにも、省エネ対策は必須といえるでしょう。
 
家庭内においては節水を心がける、国や地域から要請がある場合には節電を行うなどの省エネ対策が、エネルギーの安定供給につながります。

省エネのために家庭ですぐにできること

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家庭でできる省エネ対策というと「省エネ効果の高い家電に買い替えなくてはできない」と思われがちですが、今あるものを少し工夫しながら使うだけでも、省エネ対策につながります。    
 
キッチン、リビング、浴室やトイレなどで日常的にできる省エネ対策をご紹介します。

キッチンでできる省エネ

キッチンでできる省エネポイントは多くありますが、一気に実践してしまうとかえってストレスになることもあります。
 
無理して一度に多くの省エネをするよりも、習慣づけて自然にできるように少しずつ挑戦していきましょう。
1.冷蔵庫
消費電力量が大きい冷蔵庫は、庫内に詰め込まれているものを半分に減らすことで年間約21.4kgのCO₂を削減、電気代は約1,180円節約できます。
 
また、周辺温度22℃の場合、設定温度を「強」から「中」に変えると年間約30.1kgのCO₂を削減、電気代は約1,670円の節約が可能です。
【省エネのポイント】
・食べ物を詰め込み過ぎない。冷蔵不要のものまで入れない
・温かいものは冷ましてから入れる
・扉の無駄な開閉や開けっ放しはしない
2.食洗機
冬場にお湯(40℃)で食器を洗う場合、手洗いから食洗機に変えるだけで、年間約8,570円の水道光熱費を節約できます。
【省エネのポイント】
・残菜や油汚れなどは予め取り除いておく
・洗う食器の量に合わせて適切なコースを選ぶ
・洗剤は入れすぎない
・洗浄後の乾燥は扉を開けて余熱を利用する
3.給湯器
給湯器のお湯で食器を手洗いする場合は、40℃の設定温度を2℃下げるだけで年間約19.7kgのCO₂を削減、約1,430円のガス代が節約できます。
 
食器を手洗いする場合は、下準備をしておくと節水の効果があります。排水口のヌメリも出にくくなるので衛生的です。
【省エネのポイント】
・食器はお湯を出しっぱなしのまま洗わない(洗い桶を使うのも省エネ効果あり)
・食器に残ったソースや油汚れは拭き取っておく
・スポンジで洗剤をしっかり泡立ててから洗う
・汚れが軽い順から洗う
4.電子レンジ
カボチャなどの果菜類を下茹でする際、ガスよりも電子レンジを使った方が年間約13kgのCO2を削減、約1,060円の光熱費が節約できます。煮崩れも少ないのでおすすめです。
【省エネのポイント】
・野菜の下茹でに電子レンジを活用する
・冷凍食品の解凍は半解凍と自然解凍を活用する
5.炊飯器
炊飯器の保温機能はなるべく使わず、冷めたら電子レンジで温め直すのがおすすめです。
【省エネのポイント】
・保温は4時間まで。それ以上は電子レンジを使って温める
・温め直すときは少量のごはんも電子レンジを使ったほうが省エネ効果あり
・使用しないときはコンセントを抜いておく

リビングでできる省エネ

リビングにもさまざまな電化製品がありますが、特にエアコンや照明は消費電力が多いため、こまめな省エネ対策が必要です。
 
家族が集まるリビングでは、省エネのためにできることをみんなで話し合い、協力しながら実践していきましょう。
1.エアコン
冷房の設定温度を27℃から28℃に上げた場合、年間約14.8kgのCO2を削減、電気代は約940円節約できます。(外気温31℃でエアコン(2.2kW)を1日9時間使用した場合)[注1]
 
さらに、冷房の使用時間を1日1時間減らすと、年間約9.2kgのCO₂を削減、約580円の電気代が節約できます。(設定温度28℃の場合)[注1]
【省エネのポイント】
・冷房時は28度、暖房時は20度を設定の目安にする
・ブラインドやカーテンも利用して遮熱する
・運転効率を良くするため定期的な清掃をする
・こまめなオン・オフは控える
・長期間使用しないときはコンセントを抜く
2.照明
白熱電球の場合、使用を一日1時間短縮すると、年間約9.6kgのCO₂を削減、電気代は約530円節約できます。(54Wの白熱電球を1灯使用した場合)[注4]
【省エネのポイント】
・照明器具が汚れていると明るさが落ちるので月に一度は清掃する
・待機電力節約のためリモコンではなく壁のスイッチを使って消す
・必要に応じて調光機能を利用する
3.テレビ
液晶画面の輝度を最大の状態から中間程度まで下げた場合、年間約13.2kgのCO₂を削減、電気代は約730円節約できます。(32型テレビを使用した場合)[注5]
 
また、誰も観ていないのにテレビがつけっぱなしというのはよくあることです。無操作電源オフ機能などの省エネモードを活用するのもよいでしょう。
【省エネのポイント】
・画面の明るさや音量は適切に調整する
・テレビを消すときは主電源スイッチを使う
・静電気でほこりがつきやすいので定期的に画面の清掃をする
4.電気カーペット
電気カーペットを敷く際は、断熱マットの上に敷くと熱効率が上がります。また、使用する人数に応じて分割保温機能を活用しましょう。
 
3畳用の電気カーペットの設定温度を「強」から「中」に下げると、年間約90.8kgのCO₂を削減、電気代は約5,020円も節約できます。[注1]
【省エネのポイント】
・防寒対策に断熱マットを敷く
・設定温度は低めにする

浴室・トイレでできる省エネ

お風呂やトイレといった水回りは、節水するのはもちろんのこと、保温対策も必要です。
1.浴室
入浴は間隔をあけずに入り、追い焚きをなくしてみましょう。年間のCO₂は85.7kg削減し、ガス代を年間約6,190円節約できます。(200Lのお湯を2時間放置。4.5℃低下した後追い焚きをする場合)[注2]
【省エネのポイント】
・保温シートやフタをして保温をする
・シャワーの水はこまめに止める
2.トイレ
暖房機能付きの便座は、使用後にフタを閉めましょう。開けっ放しの場合と比べて、年間17kgのCO₂を削減し、電気代は約940円節約できます。(貯湯式の場合)[注2]
【省エネのポイント】
・便座カバーをつけて暖房効率をアップ
・便座の温度は上げすぎない
・洗浄水の温度は季節によって切り替える

洗濯でできる省エネ

規定容量6kgの洗濯機に4割の洗濯物を2回に分けて洗うよりも、8割にして一度で洗った方が、年間約2.9kgのCO₂削減ができ、水道代と電気代は合わせて約4,510円節約できます。[注6]
【省エネのポイント】
・お風呂の残り湯を使う
・乾燥機は自然乾燥と併用する
・洗剤は適量にする

省エネができる設備を導入しよう

省エネ ZEH住宅 太陽光発電
新築住宅の選択肢として、省エネ性能に優れた「ZEH住宅」が注目を集めています。住宅の省エネ化が一般的になりつつあるため、自宅のリフォームや設備機器の買い替え時期に、省エネ効果の高い設備を導入するのもおすすめです。
 
しかし、設備機器の導入は決して安いお買い物ではありません。導入する場合は補助金の申請についても調べておきましょう。既存住宅であれば、断熱リフォームなどに対しての補助金があるため、費用面で気になる方はぜひ確認してみてください。

エネルギーを効率よく使う機器

災害時に備えて、自家発電設備や蓄電池の導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
 
家庭で使える自家発電は、太陽光発電が一般的です。創エネができるため、大きな省エネ効果を生み出せる特徴があります。ただし、地域や設置条件などにより適さない場合もあるので、よく調べてから導入しましょう。
 
エネファームもガスを使って自家発電ができる設備です。発電と同時にお湯を沸かせたり、停電時に継続的な電力の供給ができたりするなど、レジリエンス(強靭性)の高い機能が備わっています。
※エネファームは東京ガス(株)、大阪ガス(株)、ENEOS(株)の登録商標です。
 

電化製品の省エネ性能

近年の電化製品は、10年前のものと比べて飛躍的に省エネ効果があがっています。
省エネ性能評価 省エネ 統一省エネラベル
出典:経済産業省
 
省エネ効果の高い電化製品を選ぶ際は「統一省エネラベル」を参考にしましょう。星の数で確認できる省エネ性能評価(多段階評価)や、省エネ基準の達成率、エネルギー消費効率などが表示されており、省エネに関する情報がひと目でわかります。[注7]
 
目安となる年間の電気料金も記載されており、商品を選ぶ判断基準のひとつとなるでしょう。

住宅の断熱リフォーム

省エネ効果の高い電化製品や自家発電設備に加え、断熱効果の高い住宅にリフォームすると、より省エネ効果があがります。
 
室内の熱は約50%が窓ガラスなどの開口部から、約20%が壁などから逃げるといわれています。せっかく性能の高い電化製品を導入するのであれば、それらを活かせるリフォームもしておきたいものです。
 
住宅の断熱リフォームを検討している方は「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」の活用がおすすめです。省エネ効果の向上が見込める断熱リフォームに対して、補助金が交付されます。[注8]

まとめ

地球温暖化が深刻な問題となっている今、企業だけではなく個人においても早急な省エネ対策が必要とされています。
 
家庭でできる省エネ対策の一つひとつは小さなことですが、毎日積み重ねていくと1年で大きな効果が生まれます。
 
同時に光熱費の節約ができれば、省エネを続けられるモチベーションにつながるかもしれません。
 
省エネ効果の高い設備機器の導入を検討する際は、費用が気になるところですが、購入する前にはぜひ補助金制度の情報も確認しておきましょう。
 
[注1]無理のない省エネ節約​|空調(経済産業省資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/airconditioning/index.html#1
 
[注2]無理のない省エネ節約|風呂・トイレ(経済産業省資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/bathtoilet/index.html#1
 
[注3]無理のない省エネ節約|キッチン(経済産業省資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/kitchen/index.html#1
 
[注4]無理のない省エネ節約|照明(経済産業省資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/lighting/index.html#1
 
[注5]無理のない省エネ節約|エンターテイメント(経済産業省資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/entertainment/index.html#1
 
[注6]無理のない省エネ節約|洗濯機・掃除機(経済産業省資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/cleaning/index.html#1
 
[注7]統一省エネラベルが変わりました(経済産業省資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/retail/touitsu_shoenelabel/
 
[注8]既存住宅における断熱リフォーム支援事業|公益財団法人北海道環境財団
http://www.heco-hojo.jp/yR03/danref/index.html