暮らしやすさを叶えるには「手放す」ことも大切。
インテリアブロガーが提案する“ラク”なインテリア術とは。

住まいは自分自身も家族も、ふっと肩の力が抜ける居心地のよい空間に仕上げたいものです。では快適で楽しい暮らしを育むためには、一体何が必要なのでしょう。お気に入りのものを飾る?生活動線を考えたレイアウト?さまざまなアイデアが思い浮かびますが、どれが正解なのか悩む人も多いはず。

そこで今回は、心がラクになる暮らしを提唱し、Instagramで約9.3万人のフォロワー数を持つ整理収納コンサルタントの瀧本真奈美さんにご登場いただきます。前後編にてお届けする瀧本さん流インテリア術。まずは前編を、どうぞ。


クラシング 代表 瀧本真奈美さん | ナチュラルな暮らしが人気のインテリアブロガー

アンティーク雑貨やプチプラグッズのリメイクアイデアで一躍人気ブロガーに。書籍を4冊出版し100冊以上の雑誌に掲載されるなど、大人気の暮らしコーディネーターです。整理収納コンサルタント、整理収納教育士、ルームスタイリスト1級などの資格を持ち、暮らしにまつわる情報をブログやSNSで日々発信しています。
ブログ開設当初から、おうち全体を飾るインテリアを楽しんでいた瀧本さんでしたが、2016年の熊本地震をきっかけにシンプルでナチュラルなインテリアへと変化。頑張りすぎず、安全で快適な暮らしを提案しています。

ブログ「暮らしごとレシピ」   Instagram


Life style 1 【手放すという考え方】

ストレスのない暮らしを叶えるために「手放す」ことを選択。

かつての瀧本さんと今の瀧本さんの違い。それは“自分を苦しめるものを手放す”を始めたことです。ものだけでなく、ストレスだと感じる生活習慣も手放し、生き生きと暮らせる環境を整えていきました。
「以前は家を飾ることに夢中でした。けれど、次第に掃除の大変さや汚れが目立つことにストレスを感じるようになったんです。そんなときに熊本地震が起こり、改めて安全に暮らすとはどういうことか考えるようになりました」。
手放すことで暮らしに余裕が生まれ、安全性を確保しつつ、家事もぐんとラクになったのだそう。

Point 1キッチン家電は必要なものを必要なだけ。

以前はお気に入りの家電をたくさん買い揃え、キッチンスペースにもさまざまな装飾を施していた瀧本さん。でも今は、見た目もすてきなキッチン家電をインテリアのようにぽんぽんと配置するだけ。置いておくだけで気分が上がり、使えばおいしいお茶や料理が出来上がる。そんなキッチン家電が瀧本さんの今の気分です。

キッチン家電や食器などをたくさん飾っていた時代。魅力的なアイテムばかりでワクワクしますが、掃除が大変という難点はありました。

必要最低限のアイテムとキッチン家電のみの現在。作業台の上には何も置かず、すっきりとした状態をキープしています。

Point 2自分にとって何が「暮らしやすさ」なのかを考える。

瀧本さんにとって「掃除が大変」「片付かない」「ちぐはぐな印象」であるのがストレスでした。そこで、ものを手放し必要なものだけを厳選して掃除の手間を軽減し、ものそれぞれの居場所を決めて片付けやすく収納場所を整理。そしてインテリアに使用する色は3色ほどに抑えてちぐはぐ感から解放。もし散らかったとしても少し頑張るだけですぐに元どおりに片付けられる、すっきりとしたリビングになりました。

Point 3効率的に暮らせるよう固定観念を取り払う。

朝起きて、細かな用事が終わった後に着替えることが多い瀧本さんは、生活動線を考える上でリビングの収納スペースをクローゼットにしています。洋服は寝室のクローゼットに収納するものだと思いがちですが、1Fにクローゼットを配したことで着替えのためだけに2Fの寝室にまで行く必要がなくなり、効率性がぐっとアップ。

EXAMPLE

【手放したことで見え方・考え方が変わったアイデアの一例】

【キッチン】

以前はすてきなお皿やカップなど、多数所有していた瀧本さん。今は使うアイテムを厳選し、カップボードの中にすべて収納しています。家族用の食器とお客様用の食器は分けて別の引き出しに収納することで、必要のないときは食器を出し入れしなくて済みます。片付けや掃除の手間も減りました。

【玄関】

夫婦2人の靴は、この写真で見えているものだけ。トレンドを追いかけるより似合う洋服を揃えることに重点を置いた結果、靴も自然と淘汰されていきました。雑貨も飾っておらず、清々しいすっきりとした玄関に。


Life style 2 【空間のつくり方】

気持ちにも空間にも「余裕」が必要。
ラクな暮らしを叶える、とっておきのコツ。

家族が集まるリビング・ダイニングだからこそ、居心地の良さにはこだわりたいところ。居心地を格段アップするコツは「甘すぎないインテリアで、余白をたっぷりと設けることです」と瀧本さん。家族とはいっても好みはバラバラ。シンプル&ナチュラルなインテリアなら、みんなにとっての居心地も抜群です。
また、空間をディスプレイする場合には余裕を持ったレイアウトに。詰め込みすぎない見た目なら、軽やかで心の風通しも良くなります。

Point 1アクセントを上手に取り入れて、日々の癒やしをディスプレイ。

いろんなものを手放しすっきりとした空間になったことで、一つひとつのインテリアがより一層際立つように。空間のアクセントになる大きめのポスターやクッションカバーを変えるだけでも部屋の印象がガラリと変わり、気分も一新されます。ほんのちょっぴりの遊び心でもリラックスでき、癒やしにつながるのです。

白で統一したシンプルな玄関先には、大好きなブランドのトートバッグを飾って空間にほんのりアクセントを。疲れて帰ってきたとき、パッと好きなものが視界に飛び込んでくるとほっこり心安らぎます。

ちょっとだけ気分を変えたいときは、ポストカードや小さなポスターを壁にペタッと。それだけでなんだか心がワクワク。パッと張り替えられるので、季節やイベント毎に変えてみるのも愉しみに。

Point 2水まわりは「清潔感」と「自然の光」をポイントに。

脱衣所や浴室、トイレなどの水まわりは、明るく清潔に保って日々気持ちよく暮らしたいところ。もし水まわりに自然光が入る窓があれば、薄いカーテンなどで目隠しする程度にして、できるだけ自然の光を取り込んだ空間づくりを意識したいです。瀧本さんのおうちの脱衣所にある窓枠にも何も置かず、光を十分に取り込んでいます。

Point 3あえてガランとさせておく、という選択。

2Fの階段前のスペースは以前はアトリエとして活用しており、さまざまな物を飾って空間を演出していました。「でも、作業をするには明るい1Fのリビングがやっぱり便利です。だから、ここは洗濯物を干したり撮影用スペースとして使ったり防災グッズを置いたりと、なんでもできるフリースペースにしました」。おかげで物が少なくなって掃除がぐんとしやすくなり、階段を降りて1Fへ行く際にもスムーズに。空間そのものに「余裕」を持たせることで、家事動線も気持ちもラクになります。


必要なものを見極めることが、
楽しくてラクな暮らしへの第一歩。

さまざまな場所を好きなもので飾り、写真を撮ってもすてきに映えるおしゃれな暮らしには、つい憧れてしまいます。でも、一度立ち止まって「自分にとっての本当の暮らしやすさってどういうものだろう?」と考えると、また違った方向性が見つかりそう。インテリアを楽しみながら、今の自分にとって本当に必要なものを見極めて過ごす瀧本さんのライフスタイルは、そんな暮らしやすさのヒントが詰まっています。
次回、後編では具体的な収納方法をはじめ、片付けやすい空間づくりのコツをお届け。なるほど!な暮らしのアイデアがたっぷり詰まった後編、どうぞお楽しみに。