今回はタワマンの低層階に住むメリットを、デメリットや注意点も含めてご紹介します。タワマン選びの際には、ぜひ低層階も候補の1つに入れてください。
タワーマンションの低層階は実はそれほど低くないこともある
タワマンの「低層階」は一般的なマンションの低層階とは異なり、実はそれほど低くない場合もあります。
その理由を知るには、「タワマン」の定義が重要なポイントです。タワマンとはどういうマンションで、低層階はどの部分にあたるのかといった基本的な知識について解説します。
タワーマンションの定義
タワマンとは、一般的には20階以上で高さ60mを超えるマンションを指します。しかし、実は「タワーマンション」という名称は、法律で定義されているわけではありません。建築基準法上、高さが60m以上の建物を別分類と分類しているため、タワーマンションと呼ばれる基準となっているのです。
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タワーマンションの低層階は全体の高さで変わる
タワマンの「低層階」の高さは、明確には決まっていません。建物の3分の1程度の高さまでを低層階と呼びますが、物件によって全体の高さが異なるためです。たとえば、20階建てであれば7階あたりまで、40階建てであれば15階あたりまでが低層階とされています。「15階」だと、一般的なマンションでは高層階、物件によっては最上階に相当する高さです。
「低層階」という言葉のイメージから、低く眺望も望めない印象を受けるかもしれませんが、実際の高さと周辺の建物次第なので、現地で確認する必要があります。
タワマンの低層階には多くのメリットがある
眺望を楽しみながらの優雅な暮らしをイメージするタワマンは、一般的に高層階のほうが人気です。しかし、実は低層階には、高層階にはない多くの魅力があります。
低層階のおもなメリットを5つご紹介します。高くからの眺望を望まなければ、低層階もタワマンの物件選びの有力な候補となるでしょう。
価格や税金が安い
低層階の物件価格は、高層階よりも一般的に安く設定されています。タワマンは高層階になるほど眺望が良く人気が高いためです。価格差は物件によっては同じ広さでも数千万円にも及ぶため、低層階であればかなりリーズナブルにタワマンに入居できることになります。低層階であっても、共用施設の利用条件といったサービス面は高層階と変わりません。利便性やセキュリティや防災性の高さも含めて、高層階と同様にタワマンの恩恵を受けることができます。
また、税金の面でも低層階は有利です。平成29年(2017年)の税制改正によって、高層階になるほど固定資産税が高くなる仕組みとなりました。戸数が多く土地にかかる固定資産税の負担がもともと少ないタワマンですが、低層階の負担はさらに軽くなっています。
生活は低層階の方が便利
低層階には、「外出しやすい」という高層階にはない便利な面があります。高層階に住んでいると、ちょっと郵便物を取りにいくだけでもエレベーターを待つ手間がかかります。低層階であれば、階段でもそれほど負担になりません。通勤や通学、日々の買い物、ゴミ捨てなど、特別に外出するつもりはなくても、生活をしていると意外と出かける用事は多いものです。タワマンのデメリットとして「外出の手間」はよく挙げられる項目ですが、低層階なら一般的なマンションと同じ感覚で生活できます。
コンパクトな物件もある
タワマンの低層階にはファミリー向けの間取り以外にも、1LDKや2LDKといったコンパクトな間取りも比較的多く用意されています。タワマンで1人暮らしを希望する方にはうれしいポイントではないでしょうか。低層階は高層階と比べてもともと価格が安いうえ、コンパクトであればさらにリーズナブル。あこがれのタワマン生活へのハードルがぐっと下がります。
最下階なら特有のメリットもある
低層階のなかでも、もっとも下の階であればさらにいくつかのメリットがあります。まず、階下に気兼ねすることなく生活できます。タワマンに限らず集合住宅では、自分が騒音を出さないように気をつかわなければなりません。階下への物音をあまり気にする必要がなければ、ストレスも感じにくくなるでしょう。
さらに、1階に共用施設やテナントなどが入っている場合、最下層階が2階以上の高さになります。1階では防犯面や眺望が気になる方も、タワマンの最下層階であれば希望にあう物件が安く見つかる可能性があります。
高層階の苦手な人もタワマンに住める
低層階は、高所や地震の揺れが苦手な方でも安心です。タワマンは、高層階ほど地震や風の影響で揺れやすくなります。先進の耐震設備を採用している物件が多いので、建物が破損する可能性は低いですが、揺れが苦手な方にとっては落ち着かないものです。
低層階であれば、一般のマンションと同様の感覚で生活できます。
タワマン低層階のデメリット
タワマンの低層階にはデメリットも存在します。高層階のほうが人気を集めているのは、それなりに理由があるからです。低層階の購入を検討する際は、デメリットも考慮して判断しましょう。
低層階のデメリットを3点ご紹介します。デメリットはどれも立地条件に関係するものです。タワマンの立地条件は事前にしっかりと確認しましょう。
眺望や日当たりがあまりよくないこともある
タワマンの低層階も、周辺の建物などによっては、一般的なマンションと同様に眺望や日当たりがよくないこともあります。ただし、タワマンの低層階は幅が広いため、一概にすべての「低層階」の日当たりがよくないわけではありません。たとえば、20階建てのタワマンでは7階くらいまでが低層階扱いになります。また、物件を選ぶ際は、周囲の建物や敷地内の状況などを、実際の部屋から確認してみましょう。
高層階よりも騒音が気になることがある
低層階では、車の音や人の声などが高層階よりも気になりやすいというデメリットがあります。また、タワマンは、駅に近い好立地に建てられていることも多いため、近隣を走る電車の騒音にも注意が必要です。タワマンで低層階の物件を探す際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
・平日と休日の両方で内覧をおこなう
・人が集まりやすい中庭などに面していない
・道路と離れた住居
・低層階のなかでもなるべく上階の物件
・周辺に工場や線路がない
・周りに高い建物が立ちそうな空き地がないか、またはすでに高い建物がないか
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タワマンの低層階を選ぶ場合の注意点
タワマンの低層階を選ぶ場合は、高層階とは違う注意点がいくつかあります。タワマンの紹介をしている情報では、高層階を前提に書かれていることも多いため、低層階ならではの特徴を把握して物件を選ぶことが重要です。
低層階を選ぶ際の注意点を2つご紹介します。
しっかりと内覧をする
タワマンの低層階を検討している場合には、可能であれば内覧をおこないましょう。日当たりや騒音といった低層階のデメリットを念入りに確認することが大切です。実際に物件をみると、生活のイメージをふくらませやすくなります。また、低層階の内覧をする際に確認すべきポイントは、周囲からどの程度部屋のなかが見えるかです。周囲にマンションや商業施設がある場合、場所によっては部屋やベランダが見えてしまうことがあります。
ただし、新築マンションの場合は、現地での内覧ができないことも少なくありません。内覧ができない場合でも、建築予定地にいって周辺の建物の高さや道路との距離を確認しておきましょう。実際に建物に入れなくても、周辺の建物のとの比較である程度環境を想像することができます。
立地条件を確認する
タワマンの資産価値は、立地条件によって大きく左右されます。高層階に比べて人気のない低層階を購入する場合は、立地条件が悪いと資産価値が予想以上に下落しかねません。駅や商業施設、病院や学校といった生活に欠かせない施設までの距離、高速道路や電車の騒音など、評価されやすい立地条件かどうかを確認しましょう。また、周辺地域の将来性も重要なポイントです。今にぎわっていても、高年齢層ばかりの地域だと、次第に衰退してしまうおそれがあります。
低層階でもタワマンに住むメリットは十分得られる
タワマンの低層階物件は、高層階に比ると人気は劣りますが、タワマンに住むメリットは十分に得られます。しかも、高層階にはない魅力も多くあるので、実は狙い目の物件です。豪華な共用施設や先進の設備、高い防災性と防犯性は高層階と変わりません。また、高層階のデメリットである外出の手間も少ないため、一般的なマンションと変わらない感覚で生活できます。さらに低層階であれば、いざという時の避難も短時間でできるので安心です。
ただし、低層階にはデメリットがあることも理解しておかなければなりません。しっかりと内覧をして、最終的にはイメージする暮らしができるのかという観点で判断しましょう。予算や希望のライフスタイルにあうあこがれのタワマン生活をぜひ手に入れてくださいね。