マンションのリノベーションは、自身のライフスタイルや好みに合った住まいを作れることが魅力です。
リノベーションに似た意味のリフォームという言葉があります。どちらも住宅の修繕や改修に使われる言葉ですが、古くなった内装や設備を修復することを意味するリフォームに対して、リノベーションは間取りや設備を変えることで新たな価値を生み出すことを指します。
より快適な部屋に作り変えたいとリノベーションを検討しているが、どの程度費用がかかるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
マンションのリノベーション費用は物件の条件や内容によって大きく変わりますが、目安を知っていれば計画が立てやすくなります。そこでこの記事では、マンションのリノベーションの費用や工事の際の注意点について解説します。ぜひ参考にしてください。
最初にリノベーションできる範囲を確認しましょう
マンションのリノベーションを検討する際には、まず工事できる箇所の確認が必要です。マンションでは、区分所有者全員で所有している共用部や建物の構造に関わる箇所のリノベーションはできません。マンションでは、主に以下のリノベーションが可能です。
●内装の変更(壁紙や天井)
●室内の建具交換(引き戸やドア)
●床材の交換(遮音性の問題からできない場合や、遮音性能の既成がある場合もある)
●水回り設備の交換や移動(キッチン、トイレ)
一方で、リノベーションできない箇所としては以下の4箇所が挙げられます。
●サッシの交換(管理規約で専有部分と認められている場合は可能)
●玄関ドアの交換
●バルコニーの変更
●構造に関わる柱や壁などの除去
●パイプスペースの移動
サッシやバルコニーなどは各部屋の専有部に見えますが、マンションの外観に影響を及ぼす箇所であると考えられるため共用部に位置づけられます。
マンションのリフォーム費用の目安:平均278万円
マンションのリノベーション費用は、間取り変更など内容によって大きく変わるため、目安となる統計資料はありません。
住宅の修繕などのリフォーム費用は、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が行った「2022年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査」によると、マンションのリフォーム費用の平均は278.6万円です。[注1]
またリフォーム費用の部位別の目安は、国土交通省の資料で確認できます[注2]。たとえば、水回り設備のリフォーム費用は以下のとおりです。
●トイレあるいは洗面所の改装:20~100万円
●システムバスの交換:50~100万円
●システムキッチンの交換:75~200万円
また内装のリフォーム費用は、以下の金額を参考にしてください。
●畳をフローリングに変更:15~60万円
●壁クロスの貼り替え(8畳):約6万円
●和室を洋室に改装:50~200万円
●LDKの改修:100~400万円
ただし、リノベーション費用は物件の条件(専有面積・築年数)や工事内容によって費用が大きく変わります。上記の費用は1つの目安であると理解してください。
[注1]一般社団法人住宅リフォーム推進協議会が行った「2022年度住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査」P9
[注2]国土交通省「部位別リフォーム費用一覧」
リノベーション費用に影響を与える3つの要素
リノベーション費用は、物件の条件や工事内容によって変わります。こちらでは費用に影響を与える物件の3つの要素について解説します。
施工内容
「フルリノベーション」と「部分的なリフォーム」で金額は大きく変わります。フルリノベーションとは部屋の内装をすべて解体して、柱や壁などの構造のみの状態から行う工事です。資材費だけでなく、工数がかかるため工事費が高くなります。一方で部分的なリフォームとは、設備の入替えや壁紙を貼り替えるなど特定箇所のみの工事を行う方法です。部分的なリフォームは、工事内容によってはご自身で行うことも可能である点からも費用を安く抑えられる方法と言えます。
物件の広さ
物件が広くなれば、工事費は高くなります。たとえば、壁紙の交換だけであっても面積が広ければその分多くの資材や作業時間が必要です。工事費の目安は平米単価で表されるため、工事面積を基に「どの程度の費用がかかるか」計算してみると良いでしょう。物件の階数
部屋の階数が高いと資材を部屋まで運ぶための運搬費用がかかるため工事費用が高くなります。たとえば資材を搬入する際に、1階と10階の部屋では資材搬入の手間が大きく変わることはイメージできるでしょう。リノベーションの際は、部屋の階数によっても費用が変わることを知っておきましょう。リノベーション及びリフォームに活用できる3つの減税制度
マンションのリノベーション及びリフォームは、工事の規模にもよりますが決して安価にできるものではありません。費用負担を軽減するためには、次の3つの減税制度の活用を検討してみてください。
住宅ローン減税
住宅のリフォームを行った場合に、要件に該当すればリフォームローン等の年末残高の0.7%が10年間に渡って、所得税額から控除されます。所得税から控除しきれない場合は、個人住民税から最大97,500円控除されます。 例えば、初年度にローン残高が2,000万円あった場合の税額控除額は「2,000万円×0.7%」で14万円です。以降の年の在額控除額は、期末のローン残高に0.7%をかけて算出できます。こちらで紹介した控除は2025年末までの制度で、2023年12月に発表された令和6年度税制改正大綱に基づく情報です。
所得税
所得税減税の制度としては「住宅特定改修特別税額控除」が用意されています。
住宅特定改修特別税額控除とは以下の工事を行った場合に、1年のみ標準的な工事費用相当額の10%が減税されます。
● バリアフリー工事
● 省エネ工事
● 耐震工事
● 三世代同居への改修
● 長期優良住宅への改修
マンションでは耐震や三世代同居などに対応したリノベーション及びリフォームは困難であるため、バリアフリー対応工事が主な対象になるでしょう。バリアフリー工事とは、具体的には段差の解消や手すりの設置などが挙げられます。
2023年12月に発表された令和6年度税制改正大綱の中で、上記既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化リフォームに係る特例措置の2年間が盛り込まれています。
また、こども・子育て政策の抜本的強化に向けて、「こどもまんなかまちづくり」を推進するため、子育てに対応した住宅へのリフォームに係る所得税の特例措置が新たに講じられ、子育て世帯等が子育てに対応した住宅へのリフォームを行う場合に、標準的な工事費用相当額の10%等を所得税から控除されます。
固定資産税
固定資産税の減税は、以下の工事を行った場合に対象となります。● 耐震工事
● バリアフリー工事
● 省エネ改修工事又は長期優良住宅化リフォーム
減税はいずれも工事を行った翌年の1年間です。耐震工事の場合は固定資産税額の2分の1が、バリアフリー工事・省エネ改修工事の場合は3分の1が、長期優良住宅化リフォームの場合は3分の2が減額になります。
固定資産税の減税措置を受けるには、工事完了後3カ月以内に市区町村への申告が必要です。
その他(贈与税)
所得税と固定資産税だけでなく、条件次第で贈与税の非課税措置を受けられます。贈与税の非課税措置は、親や祖父母から資金の贈与を受けてリノベーション及びリフォームした際に適用されます。2023年12月に発表された令和6年度税制改正大綱の中で、固定資産税に関する特例措置の3年間(令和6年1月1日~令和8年12月31日)延長が盛り込まれています。
リノベーション及びリフォームの費用を、両親などから生前贈与で援助してもらうケースがあります。生前贈与では、2,500万円まで贈与税が非課税になります。
ただし、相続時精算課税制度によって、資金を贈与した方が亡くなった際には、生前贈与された財産にも相続税がかかる点に注意が必要です。つまり生前贈与に対する課税は、受け取った時ではなく、贈与した方が亡くなった時まで先送りされると理解しておく必要があります。
その他、リノベーション及びリフォームを行う際には、各自治体が補助金制度を設けている場合があるため、建設課などに問い合わせてみると良いでしょう。
施工会社に依頼する際のポイント
リフォームをする際には信頼できる施工会社に依頼することが大切です。こちらでは、施工会社に依頼する際の3つのポイントを解説します。
マンションリフォームに詳しい施工会社を選ぶ
リフォーム会社によって、得意な工事や対応できる範囲が異なります。たとえば、リフォーム会社の中には戸建て住宅の実績はあっても、マンション工事の経験が少ない場合があります。また、小規模な補修や設備の入れ替えが専門の会社もあるでしょう。まずマンションでのリフォームの経験が豊富にあるか確認した上で、自身が依頼する工事への対応の可否や実績について確認することが大切です。
アフターサービスも確認する
施工会社を選ぶ際には、金額だけでなくアフターサービスも確認しましょう。リフォーム工事は、資材の搬入の際に床や壁を傷つけてしまうことや施工完了後に不具合が発生することもあります。施工後に問題があった場合の対応やメンテナンスなどのアフターサービスが用意されている施工会社であれば、問題が発生した際にも安心して対応を依頼できます。
マンションのリノベーション及びリフォーム工事を行う際の注意点
マンションのリノベーション及びリフォーム工事を行う際には、事前の準備が大切です。以下の注意点をあらかじめ確認しておきましょう。
管理組合・管理会社への申請が必要
リノベーション及びリフォームを行う際には、管理組合や管理会社に申請が必要です。マンションでは、リフォームできる範囲などのルールが管理規約で定められています。管理組合への申請は、リノベーション及びリフォームの内容が管理規約上問題ないことを確認するために必要な手続きです。届出用紙や申請時期が決まっている場合もあるので、リノベーション及びリフォームを考え始める際は、早めに管理規約を確認しておきましょう。
工事前に近所に挨拶をする
リノベーション及びリフォームは、資材の搬入や工事によって騒音が発生します。近隣居住者からのクレームなどのトラブルを避けるために、工事前に挨拶に行っておくことが大切です。両隣や上下階の部屋には直接挨拶に行き、マンション全体に対しては管理組合などからの指示を元に張り紙などで掲示すると良いでしょう。
住みながらの工事が可能か確認
住みながらのリノベーション及びリフォーム工事が可能であるか、施工会社に確認しておきましょう。多くの場合、部分的なリノベーション及びリフォームであれば住みながらの工事は可能ですが、フルリノベーションでは困難です。また住みながらの工事が可能であっても、荷物の移動や騒音が発生したり、水回りの設備が使用できない期間があるかもしれません。リノベーション及びリフォーム工事が始まる前に、工事期間の生活準備をしておきましょう。
マンションのリノベーション及びリフォーム費用は複数社の見積もりをとって確認しましょう
マンションリノベーション及びリフォームの施工会社を選ぶ際は、専門性や実績を確認することが大切です。依頼したい施工会社を複数社にしぼったら、相見積もりを取りましょう。相見積もりを取ることで、高額請求などのトラブルを避けられます。
近鉄不動産では「近鉄のリフォーム NEWing(ニューイング)」ブランドで、マンションのリフォーム及びリノベーション工事を請け負っています。豊富な施工実績があり、様々なリノベーション及びリフォームのご要望に対応可能です。関西・東海エリアに店舗を展開していますので、マンションのリノベーション及びリフォームで不安なことがございましたらお気軽にご相談ください。