Kurashiki Glass

涼やかでいて、手仕事の温かみがある民藝ガラス。

ジメジメとした梅雨や暑い夏の夜を涼やかに。食卓に使う器や晩酌のグラスを変えるだけで、気分もきっと変わります。民藝ガラスとして有名な「倉敷ガラス」は、小谷ブルーといわれる深い青色が印象的で、クラフトの温かみが感じられる逸品。持ちやすさや口当たりのよさも計算されるなど、作り手の想いやこだわりが詰まっています。


倉敷ガラスとは?

国内外で高い評価を得ている「倉敷ガラス」。倉敷でつくられるガラス製品の総称かと思いきや、実は1人のガラス職人の手で築かれ、受け継がれてきたもの。1964年、ガラス職人の小谷眞三さんが生み出し、現在は息子の栄次さんが1人で製作しています。倉敷の美観地区から車で15分ほどの山間の地で、定番品のコップや鉢、平皿、酒器などをつくり、展示会に向けて新作も創作。民藝のガラスとして、クラフトマンシップが感じられる品として、20〜30代の若い世代からも注目されています。

倉敷ガラスを生んだ眞三さんはもともと、クリスマスツリーに飾るガラス玉をつくる職人でした。ガラス玉の需要が先細るなか、倉敷民藝館へ通う知り合いからコップの製作を相談され、作り方もわからないまま試行錯誤を繰り返し、ようやく完成。倉敷民藝館の初代館長・外村吉之介さんがそのコップを見て、大いに喜び、倉敷の民藝品「倉敷ガラス」として全国・世界へとその名が広まっていきました。


小谷栄次さんの倉敷ガラス

コップ

眞三さんのコップを息子の栄次さんが現代の暮らしになじむようにアレンジ。「ビールが好きなので、ほどよく泡が立つサイズにしたり、飲み口を少し薄くしたり、重さも親父のときより使いやすいように調整しています」と栄次さん。手なじみのよいモール柄やサイズ、ガラスの厚みや質感から手仕事の温もりやノスタルジックな雰囲気を醸し出し、大事に使い続けたくなる品です。小2,530円・中3,300円・大3,630円

小鉢

倉敷ガラスを食卓に取り入れる際の入門編のような手軽さを持つ小鉢。素麺やざる蕎麦のつゆ鉢にしたり、付け合わせを盛り付けたり、アイスクリームやヨーグルトなどの器にしたり、用途もさまざま。カラーは「小谷ブルー」と賞される倉敷ガラス独特の深みのある青と薄青、透明の3色。 2,530円

平皿

吹きガラスでお皿をつくるのはとても難しく、近年ようやくつくり始めたという平皿。リムに倉敷ガラスの特徴であるモール柄が入り、光が差し込むと美しい陰影が愉しめます。ケーキや和菓子などを涼やかに品よく盛り付けることができ、おもてなしにも重宝。カラーは青と透明の2色。3,300円

徳利・ぐい呑

お酒好きの栄次さんが“飲みやすさ”を追求し、試行錯誤の末に現在の形に落ち着いた徳利とぐい呑。夏にキリッとした冷酒を味わうときにぜひお供にしたい酒器です。ぐい呑は重さや持ちやすさ、飲み口のよさにもこだわり、徳利はスマートな見た目以上に容量が大きく1合半も入り、小ぶりな一輪挿しとして活用する方もいるとか。徳利4,950円・ぐい呑2,970円

酒瓶八角手付き・丸瓶一輪挿し

まるでアンティークの瓶のような風合いを持つ酒瓶八角手付きは、2021年の展示会のために製作した一品。丸瓶一輪挿しは深みのある青で、和室にもマッチし、生花を引き立たせます。酒瓶八角手付き30,800円・丸瓶一輪挿し7,150円


倉敷ガラスが生まれる工房

「子どもの頃から親父が手際よくやっているのを見ていて、いとも簡単そうに見えたのですが、いざ自分でやってみたら全くマネができなかったんです。ガラスづくりを始めた頃は、ずっと親父のやり方を目で見て、体で覚えるしかなかったですね」。父・眞三さんのもとでガラス製作を始めて3年ほどで自分の窯を持つようになったといいます。ガラスを溶かす窯は栄次さん自らつくったもの。

吹きガラスの製作は、もともと分業化され、複数の職人が携わるのが主流だったとか。眞三さんは、1人でガラス製作を行う工程を独自につくり、そのパイオニアともいわれています。熱したガラスを成形するには、冷めないうちに手早く行う必要があり、吹き竿を短くするなど、1人で素早く動ける工夫が随所に見られます。

空き缶に針金を取り付けたお手製の型、倉敷ガラスの特徴であるモール柄を装飾。道具一つ一つにも職人の創意工夫が詰まっています。

1000℃を超す窯の中にある「るつぼ」から溶けたガラスをすくい取り、5分ほどで小鉢が完成。飴細工を扱うように手際よく成形する様は、文字通り職人芸です。

制作風景動画

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倉敷ガラスの代名詞でもある「小谷ブルー」は、青色のガラスに緑色のガラスを混ぜて、深みを出しています。倉敷ガラスが誕生したときに、この青色を出すのに眞三さんは苦労したそう。「青色のガラスだけだと鮮やか過ぎて。ウイスキーの瓶を割って混ぜるとちょうどよい深みのある青色ができて、日本の生活にも馴染む色合いが生まれたようです」


小谷さんにインタビュー

民藝運動の活気にも助けられ、日本国内だけでなく世界的な評価を得た「倉敷ガラス」。眞三さんの技を受け継ぎながら、栄次さんは時代の変化に合わせた倉敷ガラスを模索されてきました。「つい最近まで眞三さんの息子さんと呼ばれ、名前すら覚えてもらえなかったですね。だから、とにかく自分らしいものを追いかけてきたと思います。とはいえ、親父がつくった物も考え方も決して嫌いではないんです。特に民藝の精神は共感できるので、実用性を考えたものづくりにこだわっています」

コップの重さやサイズを調整するなど、まずは自分が使いやすいと思うものを考え、人に合わせてアレンジを加えてきたという栄次さん。「親父のつくった物は割と重厚で男性にファンが多く、自分のは比較的繊細で女性に支持されていて、この違いがおもしろいですよね。日々使う物だからこそ、片付けやすさや洗いやすさも大事。これは自分が使わないと分からないから、とにかく焼き物など気になった物は自分で使ってみて学んでいます。展示会などで出会った方に『毎日使ってます』っていわれるのが、一番うれしいですね」

飾り気の少ない素朴なガラスに宿る温かさは、実直に使い手を想う手仕事の温もりでもあるようです。


倉敷ガラス

●工房の一般見学はできません。

●商品は取り扱いのオンラインショップなどで購入できます。

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