Project 02 「天王寺」×「魅力向上」
日常と非日常が共存する「あべのハルカス」が、
いま世の中に求められることとは?
近鉄百貨店をはじめ、地上300mの高さから絶景を楽しめる展望台や全国的に見ても珍しい駅直上の都市型美術館、大阪マリオット都ホテル、オフィスフロアなど、さまざまな機能を有する「あべのハルカス」。2015年に大阪市との協定に基づき、天王寺公園をリニューアルし誕生した「てんしば」。本項では「あべの・天王寺」の魅力を発信しつづけている「あべのハルカス」と「てんしば」の運営を手がけるハルカス事業部のメンバーにスポットをあて、仕事の魅力や注力している取り組みについて迫ってみたいと思う。
MEMBER

アセット事業本部
ハルカス事業部
上 ひかる
2021年入社

アセット事業本部
ハルカス事業部
山本 千紗都
2013年入社

アセット事業本部
ハルカス事業部
眞杉 祐章
2022年入社
※部署は取材当初のものです
展望台の価値を高め、
常に変わり続けるハルカスへ
ハルカス展望台の運営を担当している上。マンション事業本部販売部からハルカス事業部への異動の打診があった際の心境をこう語る。
「ハルカスといえば大阪を代表するランドマークで、たくさんの方が日々訪れます。新しいことにチャレンジできるワクワク感に心が躍りました。」運営の業務は業務委託先との調整や取材対応、広告代理店との打ち合わせなど多岐に渡る。
ハルカス展望台運営で上が目指すのは『また来たい』と思ってもらえるような展望台をつくることだ。その取り組みのひとつがイベントの企画である。過去には、展望台でのBBQの開催や某人気アニメとのコラボレーションを手掛けてきた上。
「展望台は1回は来ますが、代わり映えが無ければ、2回3回と来る場所ではないかなと思っています。だからこそ、お客様にとって、常に魅力的な場所であり続けられるような取り組みが必要です。展望台という素晴らしいハードをどう活用できるか?を考え続け、近場の方にも観光客の方にも何度も足を運んでもらえるような展望台にしていくことが今後の目標です。」
イベント企画にはトレンドリサーチが欠かせない。作品のアニメ化や映画化を汲み取ってイベントを企画したりなど、情報収集に余念がない上。
「企画したイベントが実際に開催されるのは早くても半年後です。これから何が流行りそうか、どんな価値提供をお客様は求めているのか、そういった部分に敏感な方であればピッタリだと思います。」
イベント開催中はお客様の反応を見るため、SNSでサーチを行うこともあるそうだ。そこで『アニメとのコラボがやっているからハルカスに行ってみよう』『コラボカフェやグッズが嬉しい』といった声を目にすると頬が緩むという。「SNS以外にも、アンケートや現場社員から『お客様が喜んでいましたよ』といった声が上がってくることもあります。ダイレクトにお客様の反応を感じることができることが、ハルカス事業部で働く醍醐味です。」
展望台の価値に+αをもたらす仕掛人である上の活躍に、今後も目が離せない。
アートが好きになるきっかけを
仕掛ける難しさと面白さ
あべのハルカス16階に位置する「あべのハルカス美術館」は、「あらゆるアートを、あらゆる人に。」をコンセプトとする都市型美術館だ。駅直上という恵まれた立地状況を活かし、誰もが気軽に多彩なジャンルの芸術や文化を楽しめることが特長である。2019年にマンション事業部からハルカス事業部に異動した山本は、美術館の運営と広報を担当している。
「運営は収支管理や現場の運営を委託している協力会社との日々の調整が主たる業務で、広報については一緒に展覧会を主催する新聞社やテレビ局と協議を図りながら、グッズの企画や効果的な広告宣伝の検討・実施しています」
そんな山本が大切にしているのは、アートに詳しくない方と同じ目線に立った「素人の感覚」。一見、専門性が高いアートと相反するようにも思えるのだが、誰でも気軽に足を運べるあべのハルカス美術館ならではのアプローチだと言う。
「最初、配属先が美術館チームに決まったときは、どうしようかと思いました。美術や芸術に特別な知識を持っているわけでもありませんでしたし、もっと言うならあべのハルカス美術館に行ったこともなかったからです。
でも“素人の感覚で意見することも時に必要”という先輩の一言で救われました。郊外に位置することが多い他の美術館と異なり、当美術館は街中にあります。大勢の人々が行き交う場所にあるからこそ、幅広い層に響くプロモーションや、アートへの関心が薄い方も興味を持っていただけるようなイベントを企画することが大切です。そのためには意外と素人の感覚って重要なんです。
以前、企画したのはハルカス内のオフィステナントで働く方々を対象にした美術館での交流イベント。展示作品を絡めたリアル謎解きゲームを行い、普段美術館に来られない方が足を運ぶきっかけとなりました。これからも美術館の枠に捉われず、さまざまな企画を催して、一人でも多くのお客様にアートが好きになるきっかけを提供していきたいです」
賑わいを創出し、地域の活性化に貢献する公園に
阿倍野と天王寺の中間地点に位置する天王寺公園エントランスエリア「てんしば」。民営化に成功した公園として、今や全国の行政から理想的なモデルとして周知されている。そんなてんしばを管理するチームに1人の新入社員が配属となった。2022年入社の眞杉である。
研修期間を経て、てんしばの担当が決まった当時を眞杉はこう振り返る。「先輩から“てんしばは多忙だよ”と聞いていたので、ある程度は覚悟していました(笑)。実際に業務を行うようになった今、忙しさを身に染みています」。
その一方で、新人にもどんどん業務を任せてくれる点に魅力を感じているという。「てんしばの運営管理を行っているのは4名で、全員がすべての業務ができることを目標にチームづくりが行われています。
現に私も収支管理をはじめ、公園内に店舗をかまえるテナント様、公園施設の管理を委託している近鉄百貨店、近鉄ファシリティーズ、近鉄造園土木など、関係各所との打ち合わせや交渉といった業務を担当しています。プレッシャーに感じることもありますが、“失敗してもいいから”と心強い言葉をかけてくれる先輩、上司ばかりでとてもありがたいです」。
てんしばでは週ごとに趣向を凝らした催し物が開かれており、それらイベントにも眞杉は関わっている。「イベント会社様からの持ち込み企画もあれば、私たちが自主的に企画するイベントもあります。イベントを開催する際は公園の所有者である大阪市との調整業務が発生し、消防や警察への事前共有も必要となります。
たとえ1日しか実施しないイベントでも大勢の人々と連携を図り、実施に向けてイニシアティブを執る必要があるため、大変と言えば大変なのですが、当日にたくさんのお客様で賑わっている光景を目にしたり、期待以上の収益が上がったりしたときは嬉しいですね」。
平日の平均来園者数が9,000名であることに対し、イベントと週末が重なるときは1日あたり30,000名ほどのお客様が来園することもあるのだとか。人を呼び込み、経済効果を生み出すてんしばを、眞杉はどんな存在にしていきたいのか。最後に今後の目標について聞いてみた。
「一人でも多くの方に、てんしばに興味を持っていただくことが目標です。阿倍野区、浪速区、天王寺区の結節点となるてんしばは、このエリアのハブ機能を持っていると考えています。誰もが行きたくなる公園であり続けるために、適切な維持管理はもちろん、もっと企画力ならびに関係各所との折衝力を磨き、魅力的なイベントをカタチにしていきたいです」。
「あべのハルカス」「てんしば」が存在する意味と社会に及ぼす影響。そのことを念頭に置いて、その時々でベストな行動を考え、実行するハルカス事業部。新しい生活様式が求められる今、どのように変貌を遂げていくのか。これからも目が離せない。