Project 02 「天王寺」×「魅力向上」

日常と非日常が共存する「あべのハルカス」が、
いま世の中に求められることとは?

近鉄百貨店をはじめ、地上300mの高さから絶景を楽しめる展望台や全国的に見ても珍しい駅直上の都市型美術館、大阪マリオット都ホテル、オフィスフロアなど、さまざまな機能を有する「あべのハルカス」。2015年に大阪市との協定に基づき、天王寺公園をリニューアルし誕生した「てんしば」。本項では「あべの・天王寺」の魅力を発信しつづけている「あべのハルカス」と「てんしば」の運営を手がけるハルカス事業部のメンバーにスポットをあて、仕事の魅力や注力している取り組みについて迫ってみたいと思う。

MEMBER

アセット事業本部
ハルカス事業部

喜多 慎太郎

2009年入社

アセット事業本部
ハルカス事業部

山本 千紗都

2013年入社

アセット事業本部
ハルカス事業部

眞杉 祐章

2022年入社

※部署は取材当初のものです

Story 01

集客増と感染拡大防止のジレンマ。
カギを握るのは顧客ファーストの視点

ハルカス事業部は賃貸管理・展望台・美術館・てんしばの大きく分けて4つのチームで構成されている。展望台の運営・企画を経て、現在は展望台国内営業を担当している喜多は、ハルカス事業部の事業計画プロジェクトのチーフとしての役割も担っている。
「展望台国内営業は展望台への集客を図るセグメントです。私はプレイヤーとして旅行会社へのセールスを行いながら、チームの営業方針の立案や展望台の収支計画、予算作成を任されています。対して事業計画プロジェクトは、賃貸・管理や展望台、美術館、てんしばなど、さまざまなチームと連携を図りながら、あべのハルカス全体の増収増益を目指しています」
事業計画プロジェクトは関わるチームが多岐にわたる。各チームのこだわりを汲み取りつつも、ハルカス事業部として一枚岩になるために、ときには自分の言い分を納得してもらわなければならないこともある。加えてコロナ禍の今。集客を図りたいが、それにより感染拡大のリスクも高めてしまうかもしれないというジレンマもある。さまざまな想いが交錯する中、喜多が心がけているのは顧客ファーストの視点だ。

「コロナ禍によって状況が一変してしまったのは事実です。集客を増やすことで売上が伸びるというシンプルな考え方は通用しなくなりました。しかし、物事を進める際の判断基準は変えていません。それは“今、お客様があべのハルカスに求めていることは何か。”それを常に考えて行動することが、結果的に収益増に貢献すると考えています」
そんな喜多の目標は、新たな商業施設を開発すること。「私はアトラクション“EDGE・THE・HARUKAS”の担当課員として、計画から運営にいたるすべての業務に携わっていました。運用開始直後から好評を博し、多くの人々が天王寺・阿倍野エリアに足を運ぶきっかけになりました。
また、私は展望台とは別の業務として阿倍野界隈の商店や町会の方々と接する機会があるのですが、ハルカスが開業したことで街に活気が生まれたという声をよく聞きます。仕事を通じて地域や社会全体に大きな影響を与えることに、私は大きなやりがいを感じています。いつかハルカス事業部で培った施設運営の経験を活かし、地域との共存共栄を実現する商業施設を手がけてみたいですね」

Story 02

アートが好きになるきっかけを
仕掛ける難しさと面白さ

あべのハルカス16階に位置する「あべのハルカス美術館」は、「あらゆるアートを、あらゆる人に。」をコンセプトとする都市型美術館だ。駅直上という恵まれた立地状況を活かし、誰もが気軽に多彩なジャンルの芸術や文化を楽しめることが特長である。2019年にマンション事業部からハルカス事業部に異動した山本は、美術館の運営と広報を担当している。
「運営は収支管理や現場の運営を委託している協力会社との日々の調整が主たる業務で、広報については一緒に展覧会を主催する新聞社やテレビ局と協議を図りながら、グッズの企画や効果的な広告宣伝の検討・実施しています」
そんな山本が大切にしているのは、アートに詳しくない方と同じ目線に立った「素人の感覚」。一見、専門性が高いアートと相反するようにも思えるのだが、誰でも気軽に足を運べるあべのハルカス美術館ならではのアプローチだと言う。

「最初、配属先が美術館チームに決まったときは、どうしようかと思いました。美術や芸術に特別な知識を持っているわけでもありませんでしたし、もっと言うならあべのハルカス美術館に行ったこともなかったからです。
でも“素人の感覚で意見することも時に必要”という先輩の一言で救われました。郊外に位置することが多い他の美術館と異なり、当美術館は街中にあります。大勢の人々が行き交う場所にあるからこそ、幅広い層に響くプロモーションや、アートへの関心が薄い方も興味を持っていただけるようなイベントを企画することが大切です。そのためには意外と素人の感覚って重要なんです。
以前、企画したのはハルカス内のオフィステナントで働く方々を対象にした美術館での交流イベント。展示作品を絡めたリアル謎解きゲームを行い、普段美術館に来られない方が足を運ぶきっかけとなりました。これからも美術館の枠に捉われず、さまざまな企画を催して、一人でも多くのお客様にアートが好きになるきっかけを提供していきたいです」

Story 03

賑わいを創出し、地域の活性化に貢献する公園に

阿倍野と天王寺の中間地点に位置する天王寺公園エントランスエリア「てんしば」。民営化に成功した公園として、今や全国の行政から理想的なモデルとして周知されている。そんなてんしばを管理するチームに1人の新入社員が配属となった。2022年入社の眞杉である。
研修期間を経て、てんしばの担当が決まった当時を眞杉はこう振り返る。「先輩から“てんしばは多忙だよ”と聞いていたので、ある程度は覚悟していました(笑)。実際に業務を行うようになった今、忙しさを身に染みています」。
その一方で、新人にもどんどん業務を任せてくれる点に魅力を感じているという。「てんしばの運営管理を行っているのは4名で、全員がすべての業務ができることを目標にチームづくりが行われています。
現に私も収支管理をはじめ、公園内に店舗をかまえるテナント様、公園施設の管理を委託している近鉄百貨店、近鉄ファシリティーズ、近鉄造園土木など、関係各所との打ち合わせや交渉といった業務を担当しています。プレッシャーに感じることもありますが、“失敗してもいいから”と心強い言葉をかけてくれる先輩、上司ばかりでとてもありがたいです」。

てんしばでは週ごとに趣向を凝らした催し物が開かれており、それらイベントにも眞杉は関わっている。「イベント会社様からの持ち込み企画もあれば、私たちが自主的に企画するイベントもあります。イベントを開催する際は公園の所有者である大阪市との調整業務が発生し、消防や警察への事前共有も必要となります。
たとえ1日しか実施しないイベントでも大勢の人々と連携を図り、実施に向けてイニシアティブを執る必要があるため、大変と言えば大変なのですが、当日にたくさんのお客様で賑わっている光景を目にしたり、期待以上の収益が上がったりしたときは嬉しいですね」。
平日の平均来園者数が9,000名であることに対し、イベントと週末が重なるときは1日あたり30,000名ほどのお客様が来園することもあるのだとか。人を呼び込み、経済効果を生み出すてんしばを、眞杉はどんな存在にしていきたいのか。最後に今後の目標について聞いてみた。
「一人でも多くの方に、てんしばに興味を持っていただくことが目標です。阿倍野区、浪速区、天王寺区の結節点となるてんしばは、このエリアのハブ機能を持っていると考えています。誰もが行きたくなる公園であり続けるために、適切な維持管理はもちろん、もっと企画力ならびに関係各所との折衝力を磨き、魅力的なイベントをカタチにしていきたいです」。
「あべのハルカス」「てんしば」が存在する意味と社会に及ぼす影響。そのことを念頭に置いて、その時々でベストな行動を考え、実行するハルカス事業部。新しい生活様式が求められる今、どのように変貌を遂げていくのか。これからも目が離せない。