エアコンの電気代を節約する方法について、買い替えや電力会社の見直しだけでなく今日からできる内容も紹介していきます。電気代を節約したいと考えている方は、参考にしてください。
エアコンの仕組みをわかりやすく解説
エアコンは室内機と室外機が、室内と外気の熱を交換することで室内温度を調節します。2つをつなぐパイプの中を冷媒ガスが循環することで空気中の熱を調整し、冷たい・暖かい空気が部屋に送り込まれます。
空気内にある熱を出し入れすることで、冷暖房の空気がエアコンより排出されるのです。なお政府統計の総合窓口(e-Stat)[注1]によれば、2022年の年間平均電気代は以下のとおりです。
年間平均電気代 | エアコンの年間平均電気代 | |
単身世帯 | 81,695円 | 4,762円 |
2人以上世帯 | 152,138円 | 13,290円 |
各ページのExcelをダウンロードの上「電気代」「エアコン」の品目分類参照
単身世帯:https://onl.la/zzXjYsF
2人以上世帯:https://onl.la/WEFf82X
エアコンの電気代を2通りの計算方法で解説
電気代を節約するためには、現状でいくらかかっているかを把握する必要があります。エアコンの電気代は2通りの方法で計算可能です。
今使っているおおよその金額を知ることで、エアコンを選ぶ際や電気代を見直す際の参考にしてください。
消費電力から計算
電化製品を動かす際に必要なエネルギーを消費電力といいます。単位はワット(W)で、1000W=1kWです。消費電力量(kWh:キロワットアワー)は消費電力に使用時間をかけたものです。1時間あたりのエアコンの電気代は以下の式で計算可能です。
1時間あたりの電気代=消費電力×電気料金/1kWh
例えばエアコンの消費電力が1,000w=1kW、1kWh当たりの電気代が電気単価27円の場合は「1時間あたりの電気代=1kW×27円/1kWh=27円/h」となります。
消費電力は説明書やカタログに記載されており、消費電力量は電力会社が定めているため、簡単に調べられます。
1日につけている時間や月に稼働している日数をかけ算することで、月当たりの電気料金も計算可能です。節約する際の具体的な指標にもなるため、一度計算してみましょう。
期間消費電力量から計算
消費電力とは別に期間消費電力量と呼ばれる指標もあります。エアコンを1年間使用した際にかかる電力量の目安を定めた値です。エアコンの説明書やカタログに記載されており、低い方が電気代が安く省エネに優れていると言えます。1年間の電気代は以下の式で計算可能です。
1年間の電気代=期間消費電力量×電気単価/1kWh
なお、期間消費電力量は以下の特定条件下[注2]において計算された目安値です。
● 外気温度:東京をモデル
● 設定温度:冷房27度、暖房20度
● 期間:冷房5月23日〜10月4日、暖房11月8日〜4月16日
● 時間:6時〜24時(18時間)
[注2]https://www.jraia.or.jp/product/home_aircon/e_saving_energy.html
使う場所や時間・設定温度によって異なるため、目安の電気代として計算してみましょう。
エアコンの電気代を節約するポイント10選
エアコンの電気代を節約する10個のポイントを、誰でもすぐに実践できることから説明していきます。いくつかの方法を組み合わせることで、さらに効用が大きくなります。早速今日から活用してください。
①自動運転を活用する
エアコンは室内温度を上げ下げする際に最も電力を使います。電気代を節約するために、はじめから「弱運転」に設定している方は多いでしょう。しかし「弱運転」では設定温度になかなか近付かず、時間がかかってしまうため電力を多く消費してしまう可能性があります。「自動運転」は設定温度まで一気に近づけた後に、自動で省エネや弱運転に切り替わる仕組みです。そのため電力消費を最適にでき電気代を抑えられます。
②扇風機やサーキュレーターを併用する
冷たい空気は下に、暖かい空気は上にいく性質があります。エアコンで冷暖房を使った際に、部屋の中で温度の偏りができてしまうと、なかなか設定温度に達せず電力消費量が増えてしまいます。扇風機やサーキュレーターを併用し、室内の空気を循環させることで、効率よく温度差を解消できます。また、エアコンの風が直接体に当たることを避けられるため、冷えすぎ防止の効果もあります。
③こまめに電源を切りすぎない
エアコンをつけた後、設定温度に近づけるまでが一番電力を消費します。そのため、短時間の外出や部屋の温度が快適になったからといって、こまめに電源を切ったりつけたりしてしまうと、電気代が高くなってしまうかもしれません。ダイキン工業が行った2016年の調査[注3]を紹介します。
エアコンをつけっぱなしにする場合とこまめにオンオフを切り替える場合、日中(9時〜18時)はつけっぱなしの方が安く、夜間(18時〜23時)はこまめに切る方が電気代は安くなるとの結果でした。室内温度と設定温度の差によって消費電力は決まるため、差が大きい日中はつけっぱなしの方が良いという結果になりました。
同様にちょっとした外出の場合も日中は35分以内、夜間は18分以内であればつけっぱなしの方が電気代は安くなるとの結果でした。ただし外気温や天候の変化によっても電気代は変わるため、1つの目安として参考にしてみてください。
[注3]https://www.daikin.co.jp/air/life/issue/mission05
④設定温度を外気温に近づける
設定温度を外気温に近づけることで、消費電力を抑えて電気代を安くできます。夏場の冷房で27度を28度設定に変えることで年間約940円、冬場の暖房で21度を20度設定に変えることで年間約1,650円の電気代節約が可能です。[注4]この章で紹介している方法を組み合わせれば、設定温度を変えても快適な室温を保てます。省エネにもつながるので、まずは設定温度を1度変えてみてください。
[注4]https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/airconditioning/index.html
⑤フィルター掃除をこまめに実施する
エアコンのフィルターはこまめに掃除しましょう。目安としては月に1回か2回程度です。フィルターがきれいな状態と目詰まりしている状態を比較した際、年間で約990円の電気代節約につながります。[注4]ホコリの多くはフィルターの外側についています。そのため外側から掃除機をかけると、ホコリがきれいに取れるでしょう。またフィルターが詰まっていると異臭が発生する可能性があるので、日頃から定期的に掃除することをおすすめします。
どうしてもお手入れが面倒な人は、自動でゴミやホコリを吸い取ってくれるエアコンへの買い替えも検討してみてください。
[注4]https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/howto/airconditioning/index.html
⑥部屋の断熱性を高める
エアコンを使って室内の空気を最適な気温にしても、部屋の断熱性が低いとすぐに外気温に近づいてしまいます。快適な温度を保ち続けるためには、部屋の断熱性を高めることが重要です。● カーテンやブラインドを閉める
● 隙間を無くす・埋める
● 断熱シートを貼る
壁に断熱材を入れなくても、身近にあるちょっとした工夫で断熱性は上がります。ぜひ試してみてください。
⑦室外機の周囲に物を置かない
室外機は室内にある空気中の熱を放出する機械です。吹き出し口の周りに物が置かれていると熱の取り入れや排出の妨げになり、循環効率が落ちてエアコンの効きが悪くなります。吸排気の効率が悪化すると、負荷がかかってしまい電気代が上がってしまいます。室外機にホコリやゴミが溜まっている場合も同様に循環効率が悪化してしまうため、定期的に掃除するようにしましょう。
⑧送風モードを活用する
送風モードは冷暖房と異なり、部屋から取り込んだ空気を内部のファンを用いてそのまま送り出す機能です。扇風機を使っている時と同じ状態で、温度を変えずに部屋の空気を循環させられます。そのため、冷暖房後に送風モードを使用することで効率よく快適な温度に近づけられます。送風モードは取り入れた空気をそのまま吐き出すため、電気代が最も安い機能です。冷暖房と上手に組み合わせていくことで、電気代を抑えられます。
⑨最新機種に買い替える
エアコンは年々省エネ機能が進化しており、消費電力も低くなってきています。経済産業省が公表している情報[注6]によれば、2009年モデルと2019年モデルで比べると年間に約160kWhの差があります。消費電力量で計算すると、およそ17%の削減(約5,000~10,000円の節約)です。
最新機種を買う際は一時的に出費となりますが、買い換えた方が結果的に安く済むこともあるため、ぜひ比べてみてください。
[注6]https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/choice/
⑩電力会社を見直す
電力会社そのものを見直すことで、電気代を節約できる可能性があります。電気の基本料金の差はもちろんのこと、ポイント還元やセット割りなども存在しています。自分に合った最適なプランを見つけることで、支払う料金が少なくなったりポイント還元率が上がったりするでしょう。手続きが面倒だなと思う方もいるかもしれませんが、現在ではネット上で完結する電力会社も増えてきています。時間をかけずに行えるので、一度電力会社の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
エアコンの電気代に関する2つの疑問
エアコンの電気代を節約する上で、よくある2つの質問を解説していきます。節約方法を実践する際の参考にしてください。
冷房と除湿はどっちがお得?
雨の日など部屋の中がジメジメすると不快ですが、そんな時エアコンの冷房を使うべきか、除湿を使うべきか悩むこともあると思います。電気代を抑えながら湿気を取り除くには「弱冷房除湿」がおすすめです。除湿には2種類あり湿度が高い空気を少し冷やして水滴を集め、水分量が下がった空気を部屋に戻す方法を弱冷房除湿と呼びます。もう1種類は再熱除湿と呼ばれ、一度冷やした空気を再度暖めてから部屋に戻す方法です。
電気代は「弱冷房除湿」「冷房」「再熱除湿」の順に高くなるため、料金を抑えるには弱冷房除湿がおすすめです。一方で再熱除湿は部屋の温度を下げずに除湿が可能なため、肌寒い時期に利用すると良いでしょう。
お得な電力会社の選び方は?
電力会社を変えることで電気料金を抑えられる可能性がありますが、電力会社はたくさんあり、どのように選ぶか悩んでしまう方も多いです。そこで、電力会社を選ぶ際には以下のポイントに着目してみましょう。
● 1ヶ月に使う電気使用量をもとに電気料金を比較(シミュレーションを使用する)
● ガスやスマホ、ネット回線とセット割りが可能か
● 会社の信頼性があるか
単純な電気料金だけでなく、さまざまな組み合わせで比較することで全体の支出を抑えることにつながります。また調べる際は契約期間・違約金の有無・口コミにも注意しましょう。
エアコンの電気代は工夫次第で節約可能
エアコンの電気代を節約するためには、自分の使用量を正しく知ることから始まります。マニュアルやネットカタログの情報から簡単に計算できるため、まずは月にいくらかかっているかを把握してみてください。
節約方法も取り入れられることから1つでもいいので実践してみましょう。小さな積み重ねが節約の第一歩です。ぜひ上手にエアコンを活用し、お得で快適な生活を送ってください。