Succulent Plants

個性的な多肉植物と
素敵な器を組み合わせて

マンションでも育てやすいコンパクトなサイズの多肉植物。愛らしい姿のものから花のように美しいものまで実に多彩な種類があります。今回は、多肉植物の魅力や器とのスタイリングを中心にご紹介。多肉植物専門ブランド「solxsol」クリエイティブディレクターの松山美紗さんにお話をお聞きしました。

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松山美紗さん

多肉植物専門ブランド「solxsol(ソルバイソル)」クリエイティブディレクター。フラワーアレンジの経験を経て、多肉植物の世界へ。2004年にsolxsolを設立し、可愛い多肉植物やスタイリッシュな鉢などを取り扱う。シンプルで素敵な住まいやそのライフスタイルも注目され、さまざまなメディアで紹介されている。

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多肉植物と器の共演

一輪挿しのように自由に組み合わせを楽しむ

「多肉植物は器で表情がガラリと変わります」と話す松山さん。多肉植物と器をひとつの作品のように仕立て、互いのよさを引き立たせるスタイリングが「solxsol」の魅力です。「多肉植物は小さくても生き物だからか、ひとつひとつに存在感があって神秘的。その形のおもしろさを一輪挿しのように楽しめたら。鉢底に穴のない器でも多肉植物が元気に過ごせるよう保水性の高い土をブレンドして使うことで、多肉植物と器を自由に組み合わせられるようにしています」

小ぶりながらも茎がある多肉植物は、イギリスのアンティークを使って一輪挿しのようなスタイルに。器は1930年代のインクボトルで、素朴ながらも温かみのある色合いと質感で存在感があり、多肉植物とマッチしています。

瑞々しいグリーンネックレスをチュニジアで作られたテラコッタ鉢に。素材本来の色と風合いを生かした素焼きで、オリエンタルな雰囲気が漂い、和洋どちらのインテリアにも馴染むスタイルです。

「兜(左)」「月世界(右)」といった個性的なサボテンを引き立てるのは、シンプルでいて美しいフォルムの器。チェコの実験用磁器製造メーカー「JIPO」のアイテムで、味わいのある白が多肉植物と相性抜群。

こちらも1930年代のイギリスのアンティークと組み合わせて。手前の「幻楽」は白いふわふわ綿毛の愛らしさを、アンティークならではな温かみのある白が引き立てています。

鮮やかな花と可愛い葉が印象的な「花麒麟」。鋭いトゲを持つ個性的な多肉植物は、シンプルな素焼きの器に。こちらもチュニジアで作られたテラコッタ鉢で、風合い豊かな土色により、花と葉がより映えます。

多肉植物たちをリズミカルに並べた寄せ植えはsolxsolで人気の品。シンプルなステンレスのコンテナで、多肉たちの愛くるしさをストレートに表現されています。


多肉植物の魅力とは?

多種多様な多肉植物が日本でも

専門店はもちろん、インテリアショップや100円ショップでも見かけるようになった多肉植物。今やおうちに飾る植物として浸透していますが、松山さんが多肉植物に携わるようになった当時は、まだ「多肉植物」という言葉も一般的ではなかったそう。「サボテンを育てている方はいましたが、今のようにさまざまな品種もなかったですし、調べようにも本もなく洋書を読んで多肉植物の世界にふれていました。誰かが広めたというわけではないですが、ジワジワと知名度が高まっていったように感じます。最近、イベントなどで出店すると若い世代の方の購入が増えていますね」

生き物としての美しさ

松山さんはなぜ、多肉植物に魅了されたのでしょうか。「まず、単純に綺麗だと思ったから。ビジュアルのユニークさと育てやすさが大きいですね。植物はなんでも好きですが、特に多肉は形に魅了されます。たとえば、ふわふわの可愛い綿毛。飾りであるわけじゃなく、暑さ寒さから身を守るために、生き物が生きるための機能として備えているんです。ユニークなだけでなく、ちゃんと意味があるその形に神秘を感じます。派手さはないけど、知れば知るほど楽しいですね」

ペットのような距離感

「私のようにハマる人たちは、多肉植物を飾り物ではなくてペットに近い生き物として見ていると思います。小さくても生き物としての存在感がありますからね。同じ種類に見えてちょっとした違いがあったり、小さくて種類が豊富なのでコレクター心をくすぐります」


多肉植物を上手に大切に育てる

カンタンだからこそ愛情を持って

暑さ寒さにも強く、他の植物に比べても育てるのがラクな多肉植物。とはいえ、モノではなく生き物だから最低限のお世話は必要です。癒やしを与えてくれる分、しっかり愛情を持って育てたいもの。松山さんに最低限押さえておきたいことをお聞きしました。

「多肉植物は乾燥した地域に自生しているので、水がなくてもそうカンタンには枯れません。逆に水をあげすぎてしまうと根が腐ってしまいます。多肉植物を触って弾力があれば水は充分。押した分だけしぼんでしまう場合は水が不足しています。水やりは根に届くように、根元に近い土へ。霧吹きなどで多肉に直接水を当てるのはよくありません。葉などに水が残ると根を腐らす原因になり、太陽の熱で葉が焼けてしまう恐れもあります」

「暑さ寒さに強いといっても植物ですから、日光が必要です。また、湿気で根が腐らないように風通しのよさも大切。日当たりと風通しがよければ室内でも育てることはできます。また、枯れた葉を放置しておくとカビが生えるなど不衛生なので、気づいたら取るようにしましょう」

季節ごとのケアも大事

春・・・多くの品種が成長する季節。気温が上がると土の乾燥が進みやすいので、土が乾いていたらたっぷり水をあげましょう

夏・・・湿度の高い環境は多肉植物にとって辛いもの。水やりは控えめにし、葉の状態を見て不足している場合は涼しい夜に水やりを

秋・・・過酷な夏を乗り越え回復しようとする時期なので、水やりを再開。充分に日光を当てると紅葉しやすくなります

冬・・・凍結しないよう水やりは控えめに。日中は窓辺に置いて日光に当て、夜は窓辺は冷えるため離れた場所に置くのがベター