商品企画担当の女性社員が
西口理恵子さんとの勉強会を実施!

新型コロナウイルスの流行によって「ニューノーマル」という言葉が登場し、暮らしや住まいに求められることも変化しているのではないでしょうか。近鉄不動産では、ニューノーマル時代にも対応した設備・仕様を企画するために、数多くのお宅で整理収納のアドバイスを行う西口理恵子さんを招いて勉強会を実施。商品企画担当の女性社員が、コロナ禍における暮らしの変化やお客さまのお悩み、おうち時間をもっと心地よくするためのヒントなどをお聞きしました。

撮影場所:ローレルコート西宮里中町(棟外モデルルーム)

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整理収納アドバイザー
西口理恵子さん

整理収納アドバイザー1級、インテリアコーディネーター、宅地建物取引士。前職で新築マンション営業、企画に携わり、「インテリアR」を立ち上げる。「収納・インテリア・美」を総合した「美人収納」を掲げ、テレビ・雑誌でも活躍。セミナー・講演だけでなく、個人宅で「美人収納術」を直接指導し、整理収納サービスで生まれ変わらせたお宅は200軒以上も。著書『毎日がうまく回り出す 1日1収納の法則』他多数。InstagramなどのSNS・ブログの総フォロワー数は1万5000人以上。


コロナ禍で改めて注目されたこと

西口さんご自身がコロナ禍で実感したことは?

「仕事柄、衣食住の中でも“住”をかなり重要視していたんですが、ステイホームを通じて、改めて住の大切さを実感。自身の住まいを見直すことができました。たとえば、2人の子どもが食べ盛りで、なかなか買い物も行けないので食料品のストックがすごい量に…。ほかにも確実に物は増え、わが家の“物の適正量”の見直しを行いました。ただ、物が増えること自体、悪いことだとは思っていません。重要なのは、物の多さではなく、 “適正量を把握すること” 。実は、1年に1回も使っていない物が、家の中にある物の半分以上を占めているといわれていて、ここを見直すことが大事です。そうすれば、必要な物や好きな物で満たされる暮らしが叶えられます」

整理収納アドバイザーとして
様々なお客さまと接するなかで感じたことは?

「たくさんの方々に整理収納のオンラインセミナーへ参加いただき、『家で整理収納したい』という意識の高まりを肌で感じました。そして、コロナ禍でどのくらいの物があれば幸せなのかという価値が、少し変わってきたと感じます。これまで適正量をあまり決めていない方が多くいましたが、『自分の生活にどのくらいの物があったら幸せなのか』という基準を見つめるきっかけになったり、 『本当に自分にとって必要な物は、それほど多くなかったんじゃないか』という気づきを得た方もいらっしゃるかなと思います」


ライフスタイルごとの住まいや収納の悩み

ずっと家で過ごす方ならではのお悩みは?

「自宅で仕事をするケースが増え、『ずっと同じ場所で過ごすので気が滅入ってしまう』というご相談がありました。たとえ一人暮らしでも、まずは“寝食分離”が基本になります。寝る所と食べる所を分けることが、人間の生活として最低限必要といわれていて、プラスαとして仕事スペースを寝食のどちらかの場所に確保するのが理想的。私はコロナ禍でずっと子どもたちと一緒に家に居て、『一人になりたい!』という時もあって…。家族で過ごす時間はすごく大事ですが、小さくてもいいので、自分の居場所をプラスαの空間としてつくるのも大事だと思いました」


解決のヒント!
「仕事ができる、一人になれるプラスαの空間」

在宅勤務の時間が増え、自宅内にワークスペースが必要になった方も多いはず。最近は、新築分譲マンションのモデルルームでワークスペースを確保したプランが見られるようになりました。写真は、ローレルコート西宮里中町 棟外モデルルームのDEN。キッチンやリビングのそばにあって、ゆるやかに仕切られたスペースにデスクを配置しています。

西口さんコメント「リビングにいる家族の気配が感じられ、お子さんを見守りながら仕事をしたり、一人の時間を満喫したり、お子さんがパパやママに見守られながら勉強できたり、家族みんなが活用できるスペースですね」


将来の変化を考えると判断が難しい

「家で過ごす時間が増えると、住まいをどうよくしていくか考えますよね。新婚などの夫婦二人暮らしのご家庭では、将来的に子どもができることを考慮すると、住み替えやリフォームなど、間取りをどうしたらいいか、どこまでお金をかけたらいいのか、その判断が難しいという方も。こうしたご相談を受けると、基本的にあまりお金をかけずに今の住まいを活かす形で、家具などの配置を工夫して、より暮らしやすい空間をご提案することもあります」


解決のヒント!
「家族の成長に合わせて間取りを自分でアレンジ」

近鉄不動産オリジナルのライフステージ対応システム「madorno(マドルノ)」は、リフォームをすることなく、家族の成長に合わせて自分で間取りがアレンジできます。あらかじめ間取りの変更を想定した住戸プランに、可動収納+置き畳を組み合わせ、「お子さまの幼少期」「小学校低学年頃」「小学校高学年頃」「お子さまの独立後」の4つのライフステージにしなやかに対応します。今回勉強会を実施した商品企画チームが企画し、ローレルスクエア健都ザ・レジデンスで導入。2016年度グッドデザイン賞を受賞しました。

マドルノは、ローレル住質ラボ vol.19でご紹介しています。


忙しくて整理収納できず、物が出しっぱなし

「家事と育児をしていると時間にゆとりがなく、いかに家事の時間を減らすかが課題ですよね。『忙しいからなかなか整理収納できない』と思いがちですが、実はその逆で『整理収納していないから忙しい』ということもあります。たとえば、料理しているときにソースを取ろうとしても、ちゃんと整理されていないと、ウスターソースか、とんかつソースかパッと判別できず、探すのに余計な時間がかかってしまいます。ちょっとしたことでも、この積み重ねは大きいですね。あと、物が出しっぱなしになっていると、掃除や片付けに余分な時間がかかったり、部屋がすっきりせずなんとなく居心地が悪く感じることも」


解決のヒント!
「写真に撮って客観的な視点で部屋を見つめ直す」

西口さんコメント「あるドイツ人が日本の家を見て、『なんで物が出しっぱなし?』と驚くことが。ドイツの家では、よく使う物が収納の中にあり、使わない物は家の中にないのだそう。すっきりキレイに片付けられていて、居心地もいいですね。日本の家はこの逆。使わない物が収納を占領して、使う物は出しっぱなし。自分の目は慣れてしまっているので、第三者の視点を感じるために一度スマホで部屋を撮影してみてください。散らかり具合にびっくりして、整理収納を行うきっかけにも。必要のない物に囲まれて暮らすのは、スペースがもったいないですから、ぜひ写真を撮って見つめ直してみましょう」


物が捨てられず、整理できない

「なかなか物が捨てられないのは、特にシニア世代の方に多いお悩みですね。私は整理収納よりも安心安全が最も大事だと思っていて、戦後の物がない時代を経験された上での価値観のひとつですから、無理に捨てる必要はないと考えています。ただ、暮らしやすくする工夫は必要です。たとえば、キッチンに開封した調味料が何本もあったとします。賞味期限が切れると安心安全ではないですし、適正量を把握しなければ物があふれ、暮らしにくい原因にも。適正量・定位置を決めておけば、キッチンの使いやすさも改善されるはずです」


解決のヒント!
「物の居場所を決めてラベリング」

西口さんコメント「整理収納で大事なことは、適正量と定位置を決めること。たとえば、備蓄する食品の適正量は、災害などでライフラインがとまっても、家族が1週間生活できる量が目安。ストックが少なすぎると買い物ができない状態になると困りますし、多すぎると場所を取り、賞味期限が切れると無駄になってしまいます。乾物・調味料・レトルト・お菓子など種類別に分け、ラベリングして定位置を決めてあげると、探す時間がぐんと減り、ストックも把握できるので不必要に買い足すこともなくなります」


おうち時間をもっと心地よくするために

物ではなく、人を中心に考える

「日本の家は、食器棚や本棚など建物系家具が多くて、人が過ごすスペースは後回しになりがち。物の量に合わせて収納が多くなれば、その分だけ人が過ごせるスペースが減ってしまいます。重要なのは収納量ではなく適正量。もちろん物が少ない方がいいとは限らず、本や服など好きな物や必要な物をいっぱい持っていてもいいと思います。大事なのは、自分のライフスタイルに合った適正量をちゃんと決めているか。その上で、快適に暮らせるか。一番大事なのは物ではなく、人ですよね」

整理収納できれば4つのゆとりが生み出せる

「整理収納すると4つのゆとりが生まれます。『場所のゆとり』『お金のゆとり』『心のゆとり』、そして一番大事な『時間のゆとり』。この時間を生むために整理収納すると言っても過言ではないのです。 30分かかる家の掃除を15分で終わらせるために、整理収納ですぐ片付けられるようにしておいたり、物を探す時間を極力ゼロにしたり。家の中で物を探す時間がおおよそ1日で12分あるといわれていて、年間にすると73時間にもなります。73時間もあれば、映画を見たり、自分の好きなことができますよね」


解決のヒント!
「整理収納で意識しておきたい3つのポイント」

ゴールデンゾーン

「まずは大きく動作・動線と使用頻度を考えましょう。目の高さから膝の所までが、最も使いやすい『ゴールデンゾーン』です。ここに日々使う物が収納されているのが理想的。コーヒーの瓶をこのゾーンの上から毎日出し入れするなど、使用頻度の高い物を取り出しにくい場所にしまっていることがあります。使用頻度は、(1)毎日使う(2)2・3日に1回(3)週に1回(4)月に1回(5)年に1回の5段階にわけて、使用頻度(1)から(3)までの物をゴールデンゾーンにしまうと、劇的に使いやすくなります」

適材適所適量

「収納=奥行60cmというイメージがありますが、もっと小さくてもOKです。たとえば、A4サイズ(21cm✕29.7cm )のファイルをしまうなら、奥行きが30cmあれば入りますよね。それが、よく使う場所から3歩以内にあるかどうかが重要で、私は適材適所適量と呼んでいます。さらに、お風呂に入った後に着る下着やパジャマを毎回寝室から取ってくるのは、動線が悪いですよね。洗面室にリネン庫があると、わざわざ取りに行く必要がありません。動作・動線と使用頻度を整理していくと、必ずそのベストとなる収納場所が出てきますので、ぜひ確保したいところですね」

定位置管理

「物を探す時間をゼロにするために、物の定位置を決めることが不可欠。たとえば、冷蔵庫の中はなんとなく決めている方が多いと思いますが、家族の誰かが別の所にしまうと、すぐに取り出せなかったり、新しい物を開けてしまったり…。物の定位置を細かく決めてラベリングをすると、家族の誰が使っても元の場所に戻すことができ、こうしたイライラも軽減されます。家族一人ひとりの使用頻度や取り出しやすい高さも考慮して、定位置を管理しましょう。腰から下の位置にあるキッチンや食器棚の収納は、引き出しになっていると中身が見渡せて定位置管理がしやすく、出し入れもスムーズになります」


まとめ

今回の勉強会では、家で過ごす時間が増えたことで、 “物との付き合い方”を見直し、より暮らしやすい住環境を整えたいというニーズが高まっていることがわかりました。商品企画担当のコメント「収納スペースは、ただ確保すればよいというものではなく、日常の動線をイメージし、その動線上に収納を確保することが大事ということを改めて実感。一般的なサイズである奥行き60cmだけにこだわるのではなく、しまう物に合わせたサイズが必要ですね。今回のお話を参考に、よりよい設備・仕様を検討していきたいと思います」