洗濯機は生活に欠かせない家電製品ですが、汚れやカビの発生が心配です。洗濯槽の汚れやカビを放置すると、衣類などをきれいに洗えないだけでなく、健康面への悪影響も懸念されます。
洗濯機をきれいに保つためには、掃除はもちろん種類別の洗い方やクリーナー選びが大切です。また、汚れにくい使い方を理解しておけば、掃除をする手間が減らせるでしょう。
この記事では、洗濯機の基本的な掃除方法について紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
【洗濯機の種類別】洗濯槽の掃除方法
洗濯槽は「槽洗浄コース」の有無や、縦型かドラム式かの形状によって掃除方法が異なります。こちらでは3つの種類別に、洗濯槽の掃除方法を解説します。
槽洗浄の方法は機種によって異なる場合があるので、事前に取扱説明書で確認してください。
槽洗浄コースがある縦型の洗濯機
槽洗浄コースは、最新の機種であれば多くの製品に備わっている機能です。槽洗浄コースには、主に以下の3つの種類があります。● 洗濯中の洗浄
● 洗濯物を入れずに洗浄
● 洗濯槽の乾燥
洗濯中の洗浄は、洗濯物を洗いながら利用できるため手間がかかりません。しかし、カビが発生しているなど汚れがひどい場合には、洗濯物を入れずに洗浄すると良いでしょう。
洗濯物を入れずに洗浄する手順は、以下の2つです。
- クリーナーを洗濯槽に入れる
- 扉を閉めて、槽洗浄コースで始動する
洗濯槽の乾燥は、カビ予防の効果があります。週1回程度など、定期的に乾燥しておくと、しつこいカビ汚れが蓄積する可能性を減らせます。
槽洗浄コースがあるドラム式の洗濯機
槽洗浄コースの種類は、縦型とドラム式で違いはありません。ただし、クリーナーを投入するタイミングが異なるので注意が必要です。ドラム式洗濯機の槽洗浄は、以下の3つの手順で行います。
- 洗濯槽が空の状態で「槽洗浄コース」で始動し給水する
- 給水が終わったら一時停止ボタンで洗濯機を止める
- クリーナーを投入し再始動する
槽洗浄コースがない洗濯機
槽洗浄コースのない洗濯機の槽洗浄の手順は以下のとおりです。- 空の洗濯槽で「標準コース」で始動する
- 最高水位まで水が溜まったらクリーナーを投入する
- 最低でも4時間程度放置(つけ置き)する
- 排水する
- 空の洗濯槽のまま「標準コース」で通常通り最後まで運転する
槽洗浄コースがない洗濯機の場合、手間はかかりますが洗濯槽の洗浄は十分可能です。
洗濯槽の掃除に使うクリーナーの種類
クリーナーは洗濯槽の掃除には欠かせません。しかし、クリーナーには様々な種類があるため、どれを使ったら良いのか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
そこで、こちらではクリーナーの種類ごとに特徴や用途を解説します。
メーカー専用の塩素系クリーナー
洗濯機によっては、メーカー純正の専用のクリーナーが販売されています。メーカー専用の製品の多くは、殺菌効果の高い塩素系クリーナーです。塩素系クリーナーとは、次亜塩素酸ナトリウムが主成分で、殺菌力が高いことが特徴です。洗濯機の特徴に合わせて作られているクリーナーであるため、大きな洗浄効果が期待できます。特にカビ汚れなどがひどい場合は、メーカー専用のクリーナーを使うと良いでしょう。
塩素系クリーナーを使う際の注意点は、以下の3点です。
● 酵素系のクリーナーと併用しない
● 換気を十分行う
● ゴム手袋を着用する
有毒ガスを発生する場合があるため、酵素系クリーナーとの併用しないようにしましょう。塩素系のクリーナーは薬剤の強い臭いがするため、換気を十分に行うことが大切です。また、クリーナーが直接肌に触れないようにゴム手袋の着用をおすすめします。
メーカー専用のクリーナーが近くのお店で見つからない場合は、インターネットなどで購入するのがおすすめです。
市販の塩素系クリーナー
塩素系クリーナーは、スーパーなどで手軽に購入できる製品が多くあります。月に4回程度の定期的な洗浄の用途なら、市販の製品でも問題ありません。市販の塩素系クリーナーは、固形のタブレットタイプや液体タイプなどの種類があります。また、槽洗浄コースがない洗濯機であっても、つけ置きが不要なタイプなど特徴的な製品もあるので、商品の説明書などで確認してみてください。
塩素系クリーナーは殺菌効果の高い製品ですが、薬剤の強い臭いがする点がデメリットです。薬剤の臭いで気分が悪くなった際には、使用を中止しましょう。
酵素系クリーナー
酵素系クリーナーは、過炭酸ナトリウムを原料とした漂白剤です。塩素系クリーナーに比べて殺菌力は劣りますが、発泡した泡で洗濯槽に付着した汚れをはがす力に優れています。一方で、強い臭いを発しないため、塩素系クリーナーの臭いが苦手な方は、酵素系クリーナーを試してみると良いでしょう。酵素系クリーナーを使う際の注意点は、以下の3点です。
● 塩素系クリーナーと併用しない
● 泡立ちが多すぎる場合は水を減らす
● ゴム手袋を着用する
使用時には、発泡した泡が洗濯機から溢れないように注意する必要があります。洗濯機のメーカーによっては酵素系クリーナーを推奨していない場合があるので、取扱説明書を確認しておきましょう。
重曹
重曹とは正式には「重炭酸曹達(ソーダ)」と言い、アルカリ性を示す炭酸水素ナトリウムを主成分とした製品です。アルカリ性の成分で、酸性の皮脂汚れを中和して落としてくれます。酵素系クリーナーと同様に、殺菌効果は弱く発泡力が強いことが特徴です。重曹は強い臭いがなく、料理に使われるほど安全な物質です。洗濯槽の洗浄に強い薬品を使うことに抵抗がある方は、重曹を利用してみると良いでしょう。
重曹を利用する際の注意点は、以下の2つです。
● 洗浄力が弱い
● 溶け残りに注意する
重曹は、洗浄力が弱いことが欠点です。洗浄力が弱いからと言って多量の重曹を投入すると、溶け残って排水に詰まり、洗濯機が故障するリスクがあります。そのため重曹の使用は、洗濯機のメーカーによっては推奨されていません。使用する際は、洗濯機の取扱説明書を確認してみてください。
洗濯機の5つのパーツ別掃除方法
洗濯機で掃除が必要な箇所は、洗濯槽だけではありません。こちらでは、洗濯機の5つのパーツ別に掃除方法を紹介します。
上記図解はドラム式洗濯機です。「排水フィルター」と「糸くずフィルター」の用途は同じですが、メーカーによって呼び方が違います。本記事ではドラム式に使われているものを「排水フィルター」縦型に使われているものを「糸くずフィルター」と表記します。
洗濯パン
洗濯機を置いている洗濯パンは、排水やほこりなどによって汚れるため、半年に1回程度は掃除が必要です。洗濯機の足は短いため、洗濯パンを拭き掃除することは簡単ではありません。洗濯パンの掃除のコツは、洗濯機の足を高くする「かさ上げ台」の利用です。洗濯機の足の下に台を取り付けるだけで、洗濯機の下に手やほうきなどを入れやすくなります。また、洗濯機を容易に動かせるように、キャスター付きの洗濯パンの利用もおすすめです。
洗剤投入口
洗剤投入口は、2〜3ヶ月に1回程度掃除をしましょう。洗剤の投入口は、ぬるま湯で汚れをふやかした上で、雑巾やスポンジを使って落とします。洗剤の残りカスがこびりついているため、ふやかしておくと汚れを落としやすくなります。歯ブラシで汚れを落とした後は、ぬるま湯で濡らしたキッチンペーパーなどで拭き取ると良いでしょう。
乾燥フィルター(ドラム式)
乾燥機付きのドラム式洗濯機では、運転の度に乾燥フィルターの掃除が必要です。乾燥フィルターに綿ゴミが付いていると、乾燥時間が余計にかかってしまいます。乾燥フィルターの綿ゴミは、指の腹でこすれば簡単に取り除けます。乾燥フィルターは、ブラシなど硬いものではこすらないようにしましょう。フィルターが破れたり、伸びたりするリスクがあるためです。
排水フィルター(ドラム式)
排水フィルターは、水とともに流れたゴミが付着するため、週1回程度の掃除が推奨されています。排水フィルターを掃除する際は、まず洗濯機から取り外します。
排水フィルターを取り外す際には水が垂れるので、洗面器などを下に置いて作業をすると良いでしょう。排水フィルターのゴミは、柄つきスポンジなどを使うと取り除きやすくなります。
糸くずフィルター(縦型)
縦型洗濯機の場合、糸くずフィルターは洗濯槽の中に付いています。糸くずフィルターは、週1回程度を目安に掃除しましょう。糸くずフィルターは、洗濯機から取り外し、溜まったゴミを歯ブラシなどで掻き出します。ゴミを掻き出したら、フィルターをぬるま湯に漬けて汚れを浮かした上で洗い流しましょう。
掃除を楽にする洗濯機の5つの使い方
洗濯槽は、普段の使い方に注意をすると汚れにくくなります。こちらでは、掃除を楽にする洗濯機の使い方のポイントを5つ紹介します。
洗濯時に槽を洗える洗剤やクリーナーを使う
洗濯槽をこまめにクリーナーで洗浄することが面倒という方は、洗濯をしながら洗える洗剤やクリーナーを使いましょう。抗菌作用のある洗濯用洗剤の中には、洗濯槽の細菌の発生を防ぎ、臭いを抑制する製品があります。クリーナーは、洗濯時に使用する専用の製品があり、洗剤と合わせて投入します。
ただし、洗濯時に利用できる洗剤やクリーナーを使用していたとしても、定期的な槽洗浄は必要です。洗濯時の洗浄は細菌の発生を抑制するものであるため、洗濯機を長期間使っていれば汚れは溜まってしまうので注意しましょう。
洗濯機の扉は開けておく
洗濯機を使用していない間は、フタを開けて洗濯槽を乾燥させましょう。フタを閉めておくと洗濯槽に湿気が溜まり、カビが繁殖する原因になります。ただし、斜めドラム式の洗濯機は、扉を開けておくと小さな子どもやペットが誤って入ってしまうリスクがあります。扉を開けておく際には、子どもやペットが近づかないように注意しましょう。
衣類を洗濯槽に放置しない
洗濯物は、洗濯槽に放置しないようにしましょう。例えば、日常的に洗濯槽を洗濯かご代わりにしていると、湿気が溜まりカビの温床になります。また洗濯が終わった洗濯物も、なるべく早く洗濯槽から出しておきましょう。洗濯をしていない間は洗濯槽の中を空にして、湿気が溜まらないようにすることが大切です。
週1回洗濯槽を乾燥させる
最新の洗濯機には「乾燥モード」があります。週1回程度「乾燥モード」で運転をすると、洗濯槽の湿気対策になります。洗濯機の湿気対策は、日常的にはフタを開けておく、衣類を放置しないなどの基本的な対策が有効です。さらに「乾燥モード」で定期的に乾燥させることで、カビの発生の多くは抑制できるでしょう。特に梅雨など、湿気の多い時期には「乾燥モード」の利用がおすすめです。
月1回洗濯槽を洗浄する
洗濯槽の洗浄は、月に1回は行いましょう。月に1回、クリーナーを使った洗浄を行っておけば、衣服や洗剤の汚れのこびり付きやカビの発生を抑制できます。カビや汚れがこびりつくと、クリーナーを使っても落としきれない可能性があります。自身で洗浄できない場合は、専門の清掃会社に依頼するなど大掛かりな掃除が必要となります。
落としきれないほどの汚れがこびりつかないように、月1回の洗濯槽の洗浄は習慣にしておくと良いでしょう。
定期的に洗濯機を掃除してカビの発生を防ぎましょう
洗濯機の汚れは、洗濯槽の裏側など目に付きにくいところに付着しています。洗濯機の汚れを放置しているとカビが発生し、衣類ににおいが残るなどの問題が発生します。カビの発生は健康面のリスクもあるため、洗濯機の定期的な洗浄は必要です。
最新の機種であれば「槽洗浄コース」などが備わっており、簡単に掃除ができます。洗濯機の基本的な掃除方法を理解して、きれいな洗濯機を保つようにしましょう。