Kyoto
秋が深まるにつれて訪れたい京都。メジャーな観光名所だけでなく、知る人ぞ知るスポットやお店も巡ってみたいもの。そこで、京都暮らしの経験を持ち、今でも京都が大好きという文筆家の甲斐みのりさんに、おすすめのスポットやお店をお聞きしました!
南禅寺からほど近い「無鄰菴(むりんあん)」は、明治27年から29年にかけて七代目・小川治兵衛が作庭した、政治家・山縣有朋の別荘。敷地内には、庭園と母屋、洋館、茶室があり、洋館の2階は山縣有朋が日露開戦前に伊藤博文らと会議を行った重厚な部屋が残されています。母屋の広間を利用した「庭園カフェ」では、優麗な東山を借景にデザインされた庭園を眺めながら、抹茶・コーヒー・ビールなどの飲み物とお菓子のセットを味わうことができて、なんとも贅沢。庭園ガイド、茶道、お香など、さまざまなイベントも開催されているので、ぜひ参加してみてください。
緑が一層深くなり、しっとりした風情が漂う雨の日の見学もおすすめ。庭園に配置された飛び石の中でも、一際大きく平たい石の上が視点場となり、格好の観賞スポットになっているそうです。また、洋館2階の無鄰菴会議の部屋の壁面にも注目を。どこかのお城の障壁画を移設したといわれていますが、どこのお城のものなのかはまだ判明していないとか。
京都市左京区南禅寺草川町31
Tel 075-771-3909
[時]9:00〜17:00(4月〜9月は18時まで)
[休]12/29〜12/31
[料]入場料600円、喫茶付き入場券 1,600円
※来場は時間毎の事前予約制
京都では祇園の料亭で着物を着てお運びのアルバイトをしていました。仕事前に通りかかって、ときどき買っていたお気に入りの味。「あかい~の」「みどり~の」「きいろい~の」という名のゼリーは、舞妓さん言葉に由来しています。鮮やかな色のゼリーにスプーンを入れると、ぷるっと強い弾力が。フルーツたっぷりで食べ応えがあって、ひとつで大満足。今も京都旅の途中によく購入して、ホテルの部屋の冷蔵庫で冷やし、デザートとして食べています。京都の友人への手みやげに求めることも。
祇園にある1960年創業の喫茶店。40年ほど前に誕生したゼリーは、都をどりなどの舞踊公演時にご贔屓さんが芸妓・舞妓への楽屋見舞いとして注文されているそう。「きいろい~の」のレモンゼリーをベースに、 「あかい~の」はイチゴ味、 「みどり~の」はメロン味のゼリーが2層仕立てとなっており、どちらも甘すぎずさっぱりとした味わい。
京都市東山区祇園町北側254
Tel 075-561-3029
[時]10:00〜16:00(15:30LO)
[休]月曜、ほか不定休有り
[料]きいろい~の350円
あかい~の・みどり~の各380円
明治20年から130年以上続く「便利堂」は、美術はがきやミュージアムグッズの先駆けとして知られています。鳥獣人物戯画、琳派の作品、国宝に指定された美術品など、さまざまなテーマや作家の作品をモチーフにした文房具・雑貨・インテリアなどが取り揃い、自分用からおみやげまでをよく買い求めています。友人・家族の好みを思い浮かべながら便利堂ではがきを選び、好きな喫茶店で手紙を書いて過ごすのも楽しいひととき。それから、便利堂で見つけた鳥獣戯画のそば猪口も愛用しています。
こちらを訪れたら見ておきたいのがコロタイプの作品たち。コロタイプとは、顔料を使った写真プリントの技法で、国宝などの文化財の複製制作にも活用され、本物と見分けがつかないその精密さに驚きます。カラーのコロタイプを扱うのは世界で便利堂だけとか。
京都市中京区新町通竹屋町下ル弁財天町302
Tel 075-231-4351
[時]10:00〜19:00
[休]日曜・祝日
[料]鳥獣戯画のそば猪口1,540円、年賀はがき104円〜、マスキングテープ〈百犬図〉伊藤若冲550円
20年以上前に京都暮らしをしていた頃、喫茶店好き仲間とよく待ち合わせしたのが、天井が高く、ゆったり落ち着いて過ごせる「喫茶セブン」。2011年にマスターが亡くなり休業していたところ、「喫茶マドラグ」と形を変えて再開したと聞いてほっとしました。しかも、2012年に閉店した木屋町の洋食店「コロナ」の名物メニューが「コロナの玉子サンドイッチ」として受け継がれているとも知って大感激。こちらもよく食べていた思い出の味。「なくなってほしくない」と願っていた店や味を受け継ぐ店に感謝しています。
名店「喫茶セブン」の面影を残しながらリペアした店内は、店主の山崎さんが「リビングの延長のように寛げる場所でありたい」と話す通り、アットホームで落ち着いた雰囲気。名物の「コロナの玉子サンドイッチ」は、試行錯誤の末にとびきりフワフワな食感を再現。爽やかなマスタードとコクのあるデミグラスの2つのソースが絡み、クセになる味わいです。
京都市中京区上松屋町706-5
Tel 075-744-0067
[時] 11:30〜21:00 ※食材がなくなり次第、終了
[休]日曜
[料]コロナの玉子サンドイッチ830円、ブレンドコーヒー400円
冷麺というと夏の食べものというイメージがありますが、京都で「サカイの冷めん」といえば、冬にこたつで食べるものとしてもおなじみ。季節問わず一年中愛される隠れた京都の名物です。噛むほどに旨味を感じるもっちりとした太麺に絡むタレは、店主しか作り方を知らない秘伝のタレ。よく京都の友だちと「サカイに冷めん食べに行こう」と、ちょっと離れたところからでも、わざわざ足を運んでいます。いつも食後に「まだ食べたい、大盛を頼めばよかった」と思うほどの好物です。
3代にわたって続く昭和14年創業の老舗。冷麺は、昭和28年に誕生して以来、60年以上を経た今も変わらぬ味を守り続けています。20年ほど前から「お正月に冷麺を食べたい」というお客さんが増え、通年のメニューになったそう。秘伝のタレは、ほどよいコクとさっぱりとした後味。わざわざ訪れて食べたくなるのもうなずける味です。
平安神宮に南禅寺、京都国立近代美術館や京都市京セラ美術館など、神社仏閣や文化施設が充実している岡崎エリアは、京都の中でも大好きなエリア。そんな中、京都に住んでいた頃から、何度も足を運んでいたのが「京都市動物園」です。少し疲れているときでも、愛らしい動物たちの姿や、観覧車をはじめレトロな遊具があるミニ遊園地の風景に癒されて元気が出ます。園内の売店で飲み物やアイスクリームを買って、動物や植物を眺めつつベンチで味わうのも楽しいですよ。
ユニークな展示が話題にもなった京都市動物園の中でもおすすめなのが「ゴリラのおうち~樹林のすみか~」。人気者のニシゴリラの家族(父モモタロウ・母ゲンキ・長男ゲンタロウ・次男キンタロウ)の微笑ましい様子を見ることができます。
京都市左京区岡崎法勝寺町岡崎公園内
Tel 075-771-0210
[時]9:00〜17:00(12月〜2月は16:30まで)
※入園は閉園の30分前まで
[休]月曜(祝日の場合はその翌平日)
12/28〜1/1
[料]一般750円