ローレルスタイルvol.55 Life

ぬくもりあふれるラトビア雑貨

ぬくもりあふれるラトビア雑貨
北欧の小さな国、ラトビア。
ここで生み出される雑貨は、
どこかあたたかくて懐かしい。
手にとると、異国の作り手たちの
思いが伝わってくる。

Latvian goods

日本の心を感じるラトビア。
丁寧な手仕事は国の宝物。

美しく、細やかな色や柄。ラトビア雑貨の中には、人の気持ちに寄り添うスローな優しさがある。その魅力にとりつかれ、ラトビアに渡った一人の女性がいる。神戸にあるラトビア雑貨の専門店「SUBARU」を営む溝口明子さん。日本から遠く離れた国なのに、四季があり、思いやりにあふれたところが「日本と似ている」という。昔ながらの手仕事を宝物とする素朴な人々。一つひとつの雑貨に、大切なものが詰まっている気がする。

<取材協力>SUBARU(神戸市中央区)溝口明子さん

ラトビアはどんな国?

北ヨーロッパのバルト海に面する「バルト三国」の中央に位置するのがラトビア。北海道の77%ほどの面積に約200万人が暮らし、国土の大半をみずみずしい森や湖に覆われている。ラトビアの人たちが何よりも大事にしているのが、脈々と受け継がれてきた編み物や木工品などの手仕事。穏やかで我慢強い国民性に感性が加わり、アートと呼べるような日用品が生み出されている。ごく普通の人々に「身のまわりのものは手作りする」というクラフトマンシップが根付いているのも特徴だ。

ラトビア雑貨の魅力とは…

デザインや色のモチーフとしてよく使われているのが、草木や太陽や星などの自然。古くから自然を神様ととらえてきた歴史があり、それらを多彩なシンボルマークで表現している。マークを図柄の中に取り入れ、オリジナル性の高いデザインを作り出しているのがラトビア雑貨らしさ。手仕事なので形や色合いが一つひとつ微妙に違うが、決して大ざっぱではない、巧みな技術を感じさせる繊細さに満ちている。


Latvian goods

ラトビアの現地工房を巡って集められた、手仕事コレクション。

世界に名を知らしめる大作家ではなく、ラトビアに暮らす一般の人こそが手仕事の職人。小さな工房や自宅のテーブルで作られたアイテムは、どれもぬくもりがあり、使い込むほど味わいが出る。図柄や色使いに作り手の思いやセンスが反映されているのも面白い。SUBARUでは、現地の工房などを巡って仕入れた雑貨を数多く取りそろえている。

独特の色合いと
天然素材の風合いが魅力の「織物」

ラトビアの手仕事の中で最も発展しているのが織物。テーブルクロス、シーツ、タオルなど、あらゆる日常のファブリックをコツコツと織っている。民族衣装と密接な関わりがあり、村ごとに織りのデザインは千差万別。数冊の図鑑にまとめられるほどだ。複雑な模様や目を凝らすほどの細かい図柄に、職人の魂を感じる。

クッションカバー

タテ糸に麻、ヨコ糸に毛糸を使い、手触りの良さと立体感を出している。糸をすくい取って浮き立たせる高度な技がポイント。鮮やかなカラーと分かりやすい模様がデザインされているので、色違いや模様違いでそろえると住まいがパッと明るくなる。4,000円+税

テーブルセンター

布を染めたような繊細なグラデーションが魅力的だが、これも一本一本の糸を織り上げて仕上げたもの。手間ひまかけられているのが伝わる。職人の自由なセンスで織り上げられているので、少しずつデザインが違って楽しい。3,800円+税

素朴なものから造形美あふれるもの
まで。
地域の特色がでる「陶器」

ラトビア陶器の伝統的な産地には、大きく分けて「ラトガレ地方」と「ヴィゼメ地方」がある。ラトガレ地方の陶器は、形や模様がユニークで、1回の焼きで仕上げる。色は釉薬でつけるが「窯から出すまでどんな色が出るか分からない」ところが味わいだ。一方、ヴィゼメ地方の陶器は、絵付けによって多彩な模様を表現。シンプルなものから凝ったものまで多彩だ。

ラトガレの飾り皿

手で土を練り、ろくろなどを使ってくぼみや凹凸をつけ、ひっかきキズで模様を入れている。微妙な色合いの違いは、鉄や銅などの釉薬が醸し出す自然のカラーリング。量産できないため、ほとんどが1点ものだ。2,700円+税

ヴィゼメのボウル

型を使って焼いているので、形状はとてもシンプル。しかし、職人が手で絵付けしているため、その表情は一点一点違う。同じ形のものをそろえると、絵柄や配色の違いを楽しめる。食器棚にすっきりと収まるのもうれしい。1,600円+税

編み目が美しく、
しっかりしていて
機能的な「バスケット」

職人たちが手で編み込むラトビアのバスケット。現地ではキノコ狩りやベリー摘みでバスケットが大活躍している。原料のヤナギをいったん濡らしてから加工しているので、水に強く、汚れたら洗えるのもうれしい。茶色っぽいものはヤナギの表皮をむかずに加工したもの、白っぽいものは表皮をむいてから加工したものと、ヤナギの持つ色をそのまま生かしている。

伝統留めのバスケット

かわいいフォルムのバスケット。持ち手の付け根にある星型のデザインはラトビア独特のもので、さまざまな種類のカゴに使われている。直径約21㎝とほどよいサイズなので食材を入れるほか、編み物用の毛糸入れにも重宝。小物を入れて部屋から部屋へと移動するときにも便利だ。6,500円+税

キノコ狩り用バスケット

職人さんいわく「森に入ってキノコをとるためのバスケット」。持ち手が丈夫で口が広く、大きめの物もすんなり入る。ボディには表皮をむいていないヤナギを、持ち手や縁には表皮をむいたヤナギを使うことで、アクセントのきいたデザインに仕上げている。16,000円+税

木の特徴や形・木目も生かされ、
美しく使いやすい「木工製品」

キッチン用品から馬具、船舶まで、ラトビアの人々が幅広く使ってきたのが「木」。サクラ、くるみ、タモなど、いろいろな樹種を加工して生活の道具を作り出している。カトラリーは素朴なものが多いが、実は木目を模様に見立てて注意深く加工しているのが特徴だ。形は同一でも木の文様はそれぞれ違う。

レードル

太さも大きさもフォルムも少しずつ違うのが持ち味。ふぞろいなところにナチュラルさを感じる。金属のスプーンとは違い、アツアツのスープを入れても熱くならないので、猫舌さんにはぴったりだ。お料理の味見のときにも重宝しそう。2,600円+税

バターナイフ

普通のバターナイフより一回り大きいので、持ちやすくて塗りやすい。刃の部分はとても薄く、ジャムやバターなどがびっくりするほどよく伸びる。刃を立てる、寝かせるといった角度調整もしやすく、使い心地が軽やかだ。1,000円+税

ラトビアの家庭で代々受け継がれ、
多彩な柄が楽しめる「編み物」

女性なら誰でもマスターしている手仕事と言っていいくらい、各家庭で継承されているのが編み物。棒針を使って靴下や手袋などを手作りするのが、ラトビアの定番だ。中でも「ミトン」は特別なもので、昔は嫁入り道具として編まれていたほか、儀式にも使われてきた歴史がある。世界最古のミトンもラトビアで見つかったとか。

手袋

手仕事を守る工芸サークルのおばあちゃんたちが編み上げた、かわいくて芸術的な一点もの。毛糸をフリル状にした手首の部分がキュートだが、温かさをしっかりキープする機能性もある。細い毛糸を使っているので、肌触りもいい。7,000円+税

手編みキット

ラトビアの伝統的な絵柄を編めるキット。デザインごとに毛糸の色を組み合わせ、箱にパッケージしている。完成図はあるが、編み方の詳しい解説はついていないので、どちらかといえば編み物上級者向け。手編みの楽しさを伝えるハンドニットのショップが作っている。4,000円+税

伝統的なデザインにみる神様を表した文様。
オーナメントにはさまざまなモチーフも

ラトビアで欠かせないのが、神様のシンボルマークを組み合わせた伝統柄。マークにはそれぞれ意味があり、花型は太陽の神様、逆三角形は健康をつかさどる神様と、自然を崇拝する心が込められている。結婚式やお祭りで使われる「リエルワールデ帯」には、マークの数だけ無数の神様が織り込まれているのだとか。幸せを願う人々の思いが伝わってくる。

オーナメントコースター

神々のシンボルマークを木工品に取り入れ、雪の結晶のようなデザインに。太陽の神、星の神、豊穣の神など、そばにいてほしい神様の図柄をチョイスすると楽しい。つるして部屋に飾るほか、木製コースターとしても使える。1枚600円+税

ガラス製オーナメント

シンボルマークをかたどったガラスに、カラフルな色をつけたインテリア用オーナメント。ゆらゆらと揺れて、お部屋の中にきれいな光をもたらしてくれる。色合わせがしやすく、自由自在な組み合わせを楽しめる。1,400円+税

※掲載商品は、一点ものが多く含まれ、時期によっては取り扱いがない場合があります。


SUBARU

8年前に雑貨屋を開店した店主が、買い付けに訪れていたラトビアに心を奪われ、2013年から1年半ラトビアに移住する。帰国後は卸売を中心に、ラトビアの手仕事雑貨を販売。自然や伝統を大切にするラトビアの魅力を日本に伝えている。不定期で開く小売ショップには、店主がラトビア移住時代に知り合った職人や工房の手作り品が並ぶ。1点ずつのオーダーなので、この世でたった一つのアイテムに出会えるかもしれない。

神戸市中央区海岸通1-2-14 中村ビル2F 
Tel. 078-331-1884

雑貨店としての営業日は公式サイトをご覧ください。
(オープン日の営業時間は11:00〜18:00)

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