INTERVIEW 設計者インタビュー 「共用空間編」 ローレルタワー御堂筋本町-独創の空間美学- INTERVIEW 設計者インタビュー 「共用空間編」 ローレルタワー御堂筋本町-独創の空間美学-

『パーソナルコンフォート」というコンセプトを掲げ、
心から寛げる空間づくりを追求した「ローレルタワー御堂筋本町」。
設計やデザインに携わる者たちは、自身の経験を礎にしながらさまざまな角度から
理想への道筋を切り開いてきた。
そのひとつ、共用空間に秘められたこだわりとは、何だろうか。
インテリアデザインを監修した須摩淵氏が、そのプロセスを語る。

株式会社イリア
シニアデザイナー
須摩淵 真範
sumabuchi masanori
株式会社イリア
ホテル、マンションをはじめ幅広い分野の空間デザインを手掛けてきたトータルインテリアデザイン会社「イリア」。国内外で豊富な実績をもつインテリアのプロフェッショナル集団。
https://www.ilya.co.jp/
贅を尽くした高級よりも、優美な空間を魅せること。 贅を尽くした高級よりも、優美な空間を魅せること。
潤い豊かな環境の「つづき」をデザイン。 潤い豊かな環境の「つづき」をデザイン。

今回のプロジェクトを担当するにあたり、まず計画地界隈へ足を運びました。最初に感じたのは、御堂筋から一本奥まった場所ならではの落ち着き。そして、豊かな緑が広がる靭公園や、中之島エリアの水辺がすぐ近くにあることも印象的でした。都心の真ん中でありながら、ここには「人がやすらぐ」ための環境が身近にそろっていることを、肌で感じました。

本町といえば、ビジネスの街という一面がクローズアップされますよね。私もそのような印象をもっていたのですが、本町駅のノースウエストはすこし違いました。住みつづけるための環境性に恵まれているからこそ、タワーの共用空間にも「やすらぎ」のエッセンスを引き継ぐことをテーマとして、デザインのプランを練りはじめました。

「アート」を中心に空間を一から設計。 「アート」を中心に空間を一から設計。

住まわれる方を最初にお迎えする迎賓スペース「エントランスホール」は、敷地内の遊歩道「ガーデンウォーク」とガラスウォールを介した“やすらぎの連続性”が重視されて設計されていました。このタワーへ近づくにつれて徐々に気分がOFFモードへ切り替わってゆくようなシークエンスが描かれていたので、その延長線にありながらも「ときめき」を織り交ぜた非日常の空間に仕立てようと試みました。そこで、我々の経験値にアーティストの感性を加えた「作品をつくる」という新たな発想でデザインを進めていきました。

エントランスホール完成予想図
エントランスホール完成予想図
アートを中心に構想が練られていったエントランスホール。開発当初は暖簾タイプのデザインから検討がはじまったが、試行錯誤がつづいた後、光を放つ「ゆらぎのアート照明」に決定した。

これまでにも、できあがった空間にアート的なオブジェを設置するケースはありましたが、どうしても「空間デザインに合致したアートを選ぶ」発想になるんです。しかし、今回は正反対。“アートありき”の空間創造ですから、空間全体に美しい一体感を生み出すことができました。二層吹抜けの天井に吊るす照明自体にアートの要素を盛り込んだ意匠設計にこだわりました。ゆらゆらと揺れる照明演出を中心に、窓外に広がる緑の潤いと呼応するモダンな意匠美を追求。波のパターンをあしらったフロアデザインには光沢のあるタイルを選び、静寂の中にエレガントな感性が滲み出る美術館のような世界観を目指しました。

アーティストと議論を重ねながら厳選した素材。グラデーション状の特殊生地と照明が響き合い、独特な「ゆらぎ」を演出する。
「炎のゆらぎ」で、心に深い安堵を。 「炎のゆらぎ」で、心に深い安堵を。

エントランスホールと連続する「ウエルカムラウンジ」は、来客時のご歓談やお一人でゆったりと過ごすといったシーンを想定して、より落ち着きのある空間デザインを心掛けました。天井の高さをあえて低めに設定したのも、そのためです。砂浜をイメージしてしつらえた重厚なカーペットなどによって、ホテルのような優雅な雰囲気も漂わせています。ファブリック素材を採り入れたガラスウォールや、光壁の演出、中でも印象的な暖炉風の演出においても、ゆらゆらと揺れる炎を眺めることで心理的なやすらぎをもたらす効果があると考えて採用しています。

ウェルカムラウンジ完成予想図
ウェルカムラウンジ完成予想図
ゆらめく炎の演出が寛ぎを深める「ウエルカムラウンジ」。落ち着いた空間に仕立てるため、天井の高さをあえて低めに設定。ホテルのロビーのような優雅な雰囲気も特徴的。
大人の交流を広げる「隠れ家」をつくる。 大人の交流を広げる「隠れ家」をつくる。

15階にある共用フロアは「大人の隠れ家」がテーマ。あえて開放的な空間にするのではなく、静けさを湛えた落ち着きを徹底して追求することを選びました。ただ、やすらぐための空間というよりは、大人の交流を愉しむ場所としてご利用いただくことを想定しています。人の輪をつくりだすソファの配置もそのためです。大人の時間を演出するダイニング・バーのような歓談スペースもご用意しています。

素材の質感にこだわり、家具や調度品、インテリアの選定にもかなり時間をかけました。空間に気品を添える「花の壁」といったアーティスティックな演出もありますが、どれかひとつを奇抜なまでに主張するのではなく、すべてを美しく融合させて、空間としての品格を高めることを何よりも優先しました。ローレルタワー御堂筋本町が追求した「パーソナルコンフォート」という心地よさを、ご体感いただけるはずです。

オーナーズラウンジ(集会室)完成予想図
オーナーズラウンジ(集会室)完成予想図