近鉄不動産株式会社は、財団法人日本デザイン振興会主催の
「2025年度グッドデザイン賞」を下記4プロジェクトで受賞しました。

1.ローレルコート京都柳馬場六角(京都市中京区)
2.近鉄半蔵門SQUARE(東京都千代田区)
3.大阪上本町駅、近鉄上本町バスターミナル(大阪市天王寺区)
4.アトラス御影山手(神戸市東灘区)

これからも、「人と街の可能性を拓く。」というコーポレートステートメントのもと、
総合デベロッパーとして、「ローレルマンションシリーズ」をはじめ、
多くのお客様に愛され、快適で豊かな住まいや街づくりに努めてまいります。

ローレルコート京都柳馬場六角

「ローレルコート京都柳馬場六角」は、柳馬場通に面する総戸数32戸の分譲マンションです。密集した市街地という敷地条件の下、既存躯体を活用し、地下に平面駐車場を設けました。文化的な京町屋の風情が漂う地域性に配慮しながら、景観に馴染む佇まいと居住の快適性を兼ね備えた共同住宅を目指しました。
■歴史的な景観スケールを未来につなぐ外観デザイン
本物件は、景観条例の庇設置基準を上回る意匠デザインへの配慮として、多段構成の庇を採用し水平ラインで分節化させました。さらに、1階は京町屋の「駒寄せ」のデザインを踏襲し、共用部のプライバシーに配慮した塀を設けながら、前面道路側の面的なボリュームに対して意匠柱と縦格子による縦の分節も明確に行い、通りに面する京町屋の間口寸法に可能な限り近づける構成で周辺景観に呼応するファザードを追求しました。
■景観への配慮と環境負荷軽減
バルコニー床は断面的なレベル調整を行い、居室の窓を最大限確保しながらも、室内から室外機が見えない住環境を整えました。同様に、給湯設備は前面道路側のバルコニー部には設置せず、建物中央の吹抜け側のバルコニーに設置することで景観に配慮しました。さらに、地下に既存躯体を活用した平面駐車場を確保した結果、1階は共用部と坪庭に面する住戸として有効的に配置しました。

ローレルコート京都柳馬場六角 ローレルコート京都柳馬場六角 ローレルコート京都柳馬場六角

■審査員による評価コメント
京都の伝統的な街並みと現代建築がいかに共存できるのか、これはそう簡単に答えの出ない問いだ。それでも一つ一つ課題を見つけ、丁寧に解決していく、その試みの延長上に新しい建築のあり方が見えてくるのだろう。その好例がこの集合住宅だ。瓦屋根という具体的な素材や形態の模倣ではなく、水平屋根という抽象化された形態の反復を通じて古い建築群に敬意を払うとともに、現代的な設備機器類を可能な限り隠蔽する、この細やかな配慮によって、京都の街並みとの連続性と現代性を見事に表現している。実に秀逸なデザインである。

■ローレルコート京都柳馬場六角 概要
●所在地/京都市中京区柳馬場通六角下る井筒屋町411番 ●交通/阪急京都線「烏丸」駅徒歩5分、阪急京都線「京都河原町」駅徒歩8分、京都市営地下鉄烏丸線「烏丸御池」駅徒歩9分、京都市営地下鉄烏丸線「四条」駅徒歩10分 ●敷地面積/1,088.14㎡ ●構造・規模/鉄筋コンクリート造地上5階地下1階建 ●総戸数/32戸 ●竣工/2025年1月 ●事業主/近鉄不動産株式会社 ●設計・監理/株式会社東洋設計事務所 ●共用部デザイン/株式会社メック・デザイン・インターナショナル ●施工会社/株式会社森本組 大阪支店

近鉄半蔵門SQUARE

「近鉄半蔵門SQUARE」は、半蔵門に程近い、「麹町大通り」沿いの狭小敷地に建つ13階建のオフィスビルです。従来型の閉鎖的なペンシルビルの平面形式を反転し、避難階段とバルコニーを通りの前面側に設けて普段の居場所として活用できる計画とすることで、開放的なオフィス空間と、人が行き来する賑わいと緑の都市景観を創出し、避難安全性も確保しました。これからの中小高層ビルの「あたらしい型」となる建築を実現しました。
■避難階段とバルコニーを日常の居場所に
従来の中小高層ビルとは異なり、エレベーターと屋外避難階段を通りの前面側に配し、バルコニーの面積を最大化することで、ベンチや植栽を置いて日常の居場所として自由に使えるバルコニーと、どこにいても街とのつながりを感じる開放的なオフィス空間を計画しました。バルコニーの活用度が高まり、それに連なる避難階段も普段から活用されることで避難時の安全性を高めました。
■豊かな共用空間で、街と建築の有機的なつながりを創出
オフィス階のバルコニーを階段で接続することで、室内の活気やバルコニーで入居者が憩う様子が、都市ににじみ出すだけでなく、オフィス階に連なる屋上テラスと共用ラウンジでは入居者同士や外部ゲストとの交流も生まれます。多種多様な賑わいが積み重なるさまは、浮世絵に描かれた賑わいの風景を90度傾けたかのようでもあります。「縦動線を通りの前面に配置する」という普遍的な形式により、社会的な要請に応えつつもこの場所に固有の歴史と豊かな緑の景観を引き継ぐ、「あたらしい型」としてのオフィスビルを実現しました。

近鉄半蔵門SQUARE 近鉄半蔵門SQUARE 近鉄半蔵門SQUARE

■審査員による評価コメント
半蔵門駅直結の新たなオフィスビル。働き方改革や健康志向に応え、多様なワークプレイスや充実した共用施設を整備し、利用者の交流を促す設計とした。外装は周辺環境と調和しつつ透明感のあるデザインで街並みに開かれた表情をもたらす。自然採光・自然換気を組み合わせ、快適性と環境性能を両立。利便性とサステナビリティを兼ね備えた次世代型オフィスである。

■近鉄半蔵門SQUARE 概要
●所在地/東京都千代田区麹町一丁目6番地30 ●交通/東京メトロ半蔵門線「半蔵門」駅 徒歩1分、東京メトロ有楽町線「麹町」駅 徒歩5分 ●敷地面積/97.08㎡ ●延床面積 /865.85㎡ ●構造・規模/鉄骨造地上13階建 ●竣工/2023年8月 ●事業主/近鉄不動産株式会社 ●設計・監理/株式会社MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO一級建築士事務所 ●施工会社/株式会社彩都コーポレーション

大阪上本町駅、近鉄上本町バスターミナル

「大阪上本町駅、近鉄上本町バスターミナル」は、バスターミナルのリニューアルおよび駅連絡通路の新設計画です。大阪・関西万博のシャトルバス発着場となることが決定し、バスターミナルと待合スペースおよび駅からバスターミナルへの動線を整備しました。バスセンター建物を撤去し、発着エリアを拡張するとともに、1階に位置する駅の線路を一線廃止し、2階バスターミナルへと続く動線を確保しました。
■光で空間をデザイン
バスターミナルは天井全体にライン照明を配置し、さらに発着エリアを二重の光の輪で囲うことで、目を惹くデザインとし既存からの一新を強調しました。エリア内の12本の柱には10色のタイルをグラデーション状に貼ることでエリアを包み込む光を表現し、目的地へと旅立つ期待感と高揚感を創出しました。
■かつての線路と新通路としての役割
明るく開放的な駅と一新されたバスターミナルをつなぐ連絡通路は、曲線を多用した柔らかいデザインとすることで、旅に出る期待感と上質で落ち着いた空間を創出しました。改札からエスカレーターまでの床タイルは色を変えることで、かつての線路跡を想起させ、柱片側のみを曲面壁で覆うデザインとすることで通路の行き道と帰り道の表情に変化を与えました。

大阪上本町駅、近鉄上本町バスターミナル 大阪上本町駅、近鉄上本町バスターミナル 大阪上本町駅、近鉄上本町バスターミナル

■審査員による評価コメント
かつて市電が交通の主役だった時代は主要ターミナルだった上本町だが、今は少し寂しさと昭和の雰囲気を残す駅と地域になっている。行き止まり式の大規模な鉄道駅が地上レベルにあることは我が国では珍しく、上本町駅はその点で極めてバリアフリーかつ地域と一体化された空間と言える。このバスターミナルのリニューアルは、鉄道駅構内とバスターミナル側の境界線を撤去し、薄暗かった駅が大きく明るく広がった印象を受ける。 万博シャトルバスへの発着場としてのリニューアルだが、上本町駅全体の再開発も発表されており、このバスターミナルから周辺地域の活性化につながる新しい展開を期待している。

■大阪上本町駅、近鉄上本町バスターミナル 概要
●所在地/大阪府大阪市天王寺区上本町6丁目5番28号 ●交通/近畿日本鉄道「大阪上本町」駅 徒歩1分 ●敷地面積/32,580.87㎡ ●構造・規模/鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造)地上21階地下4階建(ターミナルビル全体) ●竣工/2025年3月 ●事業主/近鉄不動産株式会社、近畿日本鉄道株式会社 ●設計・監理/株式会社大林組 ●施工会社/株式会社大林組

アトラス御影山手

「アトラス御影山手」は、大阪・神戸の中間、六甲山の麓に位置する集合住宅です。御影石野住宅の建替え事業であり「近隣の皆にも喜んでもらえる建替えにしたい」という従来居住者の希望に応えました。容積率を消化しやすいL字型プランをあえてI型とし、ノイズとなる機械駐車場を地下平面駐車場としました。創出した空間に旧宅をイメージした石垣・公園・保存した大樹を配し、街並みと調和させています。
■旧住宅のアイデンティティと住民の想い
本物件は建替え要件として「隣地との境界にまたがる榎の大樹を残すこと」があり、隣地所有者にもそれに同意いただきました。「土地の魅力への理解度が高く、地域内で共有されている」と実感し、プラン全体を御影山手にふさわしくなるよう努めました。北側道路に圧迫感を与えないよう建物を極力線路側の南へ寄せ、L型プランによる容積率の最大消化をあえて避け、I型の配置を選択。余剰容積率活用法としてバルコニーの奥行を2.5mとし、南側眺望手前に余白を造ることで空間的な広がりを演出しました。
■奥行き2.5mのバルコニーで空間的広がりを創出
バルコニーは南側に広がる庭園を見渡すため、足元まで透明な手すりを採用することと同時にプライバシー保護と景観保護を達成する必要がありました。そこで、手法としてバルコニーの横幅半分を洗濯物干し用の手すり壁とし、もう一方をガラス手すりに。ガラス手すりはフラットにせず外側へわずかに突出させ、プライバシーを保ちながらベランダの半分以上を開放しました。

アトラス御影山手 アトラス御影山手 アトラス御影山手

■審査員による評価コメント
大規模集合住宅の建て替えは、ジェントリフィケーションにも通じる様々な課題と表裏一体の関係にあるが、この計画では、土地の記憶や住人の愛着に丁寧に寄り添いながら、事業性や経済性一辺倒に陥らない計画とすることで、こうした課題を乗り越えている。そこが何よりも素晴らしい点だが、加えて縦動線を分散配置することで、通常ならば「裏」になってしまう廊下側にも豊かな生活の場を生み出しているプランニングは秀逸で、景観としても、また居住性としても、快適で質の高い集合住宅となっている。

■アトラス御影山手 概要
●所在地/兵庫県神戸市東灘区御影山手1丁目1番1 ●交通/阪急神戸線「御影」駅徒歩5分、JR東海道本線(神戸線)「住吉」駅徒歩13分 ●敷地面積/3,735.92㎡ ●構造・規模/鉄筋コンクリート造一部鉄骨造地上7階建(建築確認申請上は地上6階・地下1階建) ●総戸数/70戸 ●竣工/2024年8月 ●事業主/旭化成不動産レジデンス株式会社・近鉄不動産株式会社 ●設計・監理/株式会社ユーデーコンサルタンツ ●デザイン監修/株式会社日建設計 ●施工会社/大日本土木株式会社

過去の受賞物件

Copyright © KINTETSU REAL ESTATE CO.,Ltd All rights reserved.